次の配合/攪拌工程に移ったら、材料ロットについているRFIDカードをRFIDリーダーライターにセットします。先ほど入力した材料ロットの情報が表示されます。
続いて、重量を測定します。測定するワークを重量計で測定すると測定結果が画面に表示されます。今回は重量測定ボタンを付けましたが、これも一連の流れで動作できるのであればボタンは不要となります。
重量を測定したら、配合ロットNo.を入力します。これも基本自動でセットされるようにしていきます。最後に、材料ロットについていたRFIDカードをRFIDリーダーライター上に置くことにより、配合/攪拌工程における情報がRFIDカードに書き込まれます。
熱成形工程でも、配合/攪拌工程と同様のオペレーションを行うことになります。ただし、最後にRFIDカードに情報を記録する際には、同時にネットワークで接続されたデータベースサーバ上にもロット情報を記録するようにします。データベースサーバへのデータ格納は連載第2回の温度センサーの情報を登録する方式と同じになりますのでご参照ください。
このような流れで、材料受入から熱成形まで全工程のロット情報をひも付けるとともに、各工程の製造条件を記録していくことが可能になります。
今回のシステムでは、ラズパイとさまざまな機器、センサーを接続することになりますので、そのポイントを説明しましょう。
まず、RFIDリーダーライターはUSBで接続します。次に、重量センサー、温度センサーといったセンサーはGPIO端子に接続します。
今回、重量センサーとしてはロードセルを使用しており、このためセンサーデータはアナログ値(電流値)で出力されるため、A-Dコンバーターを介してデジタルデータに変換しています。
タッチパネルとの接続には、HDMI、USB、GPIOを使用しています。これらのうちHDMIは、ラズパイのデスクトップを表示するために使用します。USBは、タッチパネルに表示したキーボードを入力した際のラズパイへのインプットとして使用します。GPIOは、タッチパネルを経由してラズパイに電力を供給するために用いています。タッチパネルの電源は通常のAC100Vのコンセントから供給しており、ラズパイの電力はこのタッチパネルを経由して賄っています。
なお、材料受入工程で利用しているバーコードリーダーには、一般的なUSB接続のものをラズパイに接続します。これでバーコードやQRコードを読み取ると画面の項目に値がセットされます。
今回のシステムの各表示画面は、HTMLとJavaScriptでプログラミングしています。RFIDリーダーライターの入出力コントロールにはPythonを使用しました。Pythonで作成したプログラムを起動しておくことで、常に入出力を監視する仕様としています。読み取り待ちのRFIDリーダーライターにRFIDカードをかざすと、その読み取り結果をPythonのプログラムが受け取って後続の処理を実行していき、最後にRFIDカードに情報を書き込むという仕組みです。
ラズパイ、RFIDリーダーライター、タッチパネルはそれぞれ約1万円で購入可能です。センサーは数百円から買えるものもあります。RFIDカードは今回1枚当り500円弱のものを利用しましたが、1枚約200円で購入可能です。まさに、簡単お手軽IoTツールとなりますので、ぜひ製造工程の品質保証体制強化などにご活用いただければと思います。
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株式会社アムイ 代表取締役
山田 浩貢(やまだ ひろつぐ)
NTTデータ東海にて1990年代前半より製造業における生産管理パッケージシステムの企画開発・ユーザー適用および大手自動車部品メーカーを中心とした生産系業務改革、
原価企画・原価管理システム構築のプロジェクトマネージメントに従事。2013年に株式会社アムイを設立し大手から中堅中小製造業の業務改革、業務改善に伴うIT推進コンサルティングを手掛けている。「現場目線でのものづくり強化と経営効率向上にITを生かす」活動を展開中。
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