Isaac Simが対応しているROSトピックは他にもある。そのいくつかを紹介しておこう。いずれもROSモジュール配置、オブジェクト連携という共通の手順で実行できる。
ROSとシミュレーターを連動させて、アームロボットの物体認識に活用する方法を紹介したが、Isaac Simのシミュレーション画像をROS側で使用できるROS_Cameraモジュールも用意されている。
【訂正】ROS_Cameraモジュールの利用プロセスに関する説明に不足があったので項目2.を追加しました
レーザー距離センサーであるLiDARのシミュレーションとROSトピックのpublishができる。
Isaac Simは、ROS_Bridgeを使用することで、GUIだけで操作できる簡単なROS連携を行えるのはここまで紹介した通りだ。さらに、Pythonでプログラムを作成することもでき、「MoveIt!」経由でピッキングを行ったり、「LiDAR SLAM」と連携してマップを作成したりといった応用も可能である。リアルなレンダリングを生かしてVisual SLAM用の動画を生成するなどの用途も考えられる。
ROSはトピックの疎結合で構成しているため、ロボットへの入出力トピックをつなぐことができればシミュレーターの変更もそれほど困難ではない。Isaac Simのような、シミュレーターとしてのレンダリングの美しさや物理エンジンの精細さなどさまざまな特徴を生かすことができれば、シミュレーションの応用範囲を拡大できるだろう。
リリースから10年が経過し、ROSは研究機関や製造、商用分野まで幅広く活用されるプラットフォームに成長した。用途の多様化に伴い、シミュレーターも多彩な機能が求められるようになるだろう。Gazeboが多機能化する、用途に特化したシミュレーターが登場する、などさまざまな可能性が考えられる。
本連載で紹介したように、ROS対応のシミュレーターは複数登場している。疎結合で構成されているためシミュレーターを変更できるというROSの強みを、ぜひ体験していただきたい。(連載完)
富士ソフト AI・ロボット開発 R&Dチーム
富士ソフトでAI・ロボット開発の調査研究を主務として、最新技術の調査・社内外へのセミナー等に対応し、AI・ロボット開発の最新技術の習得および普及のため活動している。
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