AIで製造業での技能伝承を支援する、ナレッジシェアシステムの販売開始:製造ITニュース
FRONTEOは、AGCと共同開発したAIナレッジシェアシステム「匠KIBIT」を発売した。熟練技術者のノウハウが組織知として蓄積されており、製造業での技能伝承を支援する。蓄積した知識をシェアすることで、組織の文化形成にも活用できる。
FRONTEOは2021年2月16日、AGCと共同開発したAI(人工知能)ナレッジシェアシステム「匠KIBIT(キビット)」の販売を開始した。
両社が2017年から開発を開始した匠KIBITは、FRONTEOの言語解析AIエンジン「KIBIT」を製造業の技能伝承支援向けに活用したものだ。
匠KIBITには、熟練技術者が試行錯誤によって生み出したノウハウや生産計画、工程における工夫など、経験によって得られた知識が組織知として蓄積されている。同システムに作業や業務についての質問を入力すると、蓄積された知識の中から状況に適した知見を参照できる。また、蓄積した知識を組織内でシェアすることが可能で、組織の文化形成にも活用できる。
匠KIBITの利用イメージ(クリックで拡大) 出典:FRONTEO
匠KIBITは、1日に最大で約40件の問い合わせに回答するなど、人の対応力を上回っており、有識者や熟練技術者の労力の代替になり得る。
製造業では、熟練技術者の高齢化や継承者不足、拠点の分散化などが、技術や知識を守り伝承する上での課題となっている。FRONTEOは、製造業をはじめ、これらの課題を抱えるさまざまな業界へ、匠KIBITの普及を進めていく。
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