「第5回 スマート工場 EXPO〜IoT/AI/FAによる製造革新展〜」の基調講演に日産自動車 常務執行役員 アライアンスグローバルVP 車両生産技術開発本部担当の平田禎治氏が登壇。「ニッサン インテリジェント ファクトリー〜技術革新による次世代のクルマづくり〜」をテーマに同社の取り組みを紹介した。
スマート工場・スマート物流を実現するためのIoTソリューション、AI、FA/ロボットなどの最新技術を紹介する「第5回 スマート工場 EXPO〜IoT/AI/FAによる製造革新展〜」(2021年1月20〜22日、東京ビッグサイト)の基調講演に日産自動車 常務執行役員 アライアンスグローバルVP 車両生産技術開発本部担当の平田禎治氏が登壇。「ニッサンインテリジェントファクトリー〜技術革新による次世代のクルマづくり〜」をテーマに同社の取り組みを紹介した。本稿ではその内容を紹介する。
日産自動車は現在厳しい状況に直面しており、2020年5月に「事業構造改革計画/NISSAN NEXT」を発表している。従来は、拡大と成長を基本に新興国での工場建設などを進めてきたが、新たな計画では「最適化」と「選択と集中」という2つのキーワードの下、現実を見据えた安定的な運営体制を目指すものとした。
具体的には「『最適化』については、生産能力の最適化や製品ラインアップの効率化、固定費の削減を進めている。『選択と集中』ではコアとなるマーケット、モデル、テクノロジーをしっかりと見据えて、着地点として収益が確保できる企業体質とする。われわれの強みをしっかり形にしていくこと、日産らしさを残していくことが当面のゴールとなる」と平田氏は語っている。
こうした取り組みの一方で、将来につながる技術へは積極的に投資を進めていく方針だ。特に強化する技術の1つが、自動運転や先進運転支援に関するものだ。日産自動車は自動運転や先進運転支援に早期から取り組んでおり、「ゼロ・フェイタリティ(交通事故による死亡者、重傷者ゼロ)」を目指すために必要な技術として2005年からさまざまな形で進めてきた。例えば、先進運転支援システム(ADAS)開発の方針として位置付けているのが「セーフティ・シールド」という考えだ。
事故が起こるまでの過程を「危険が顕在化していない」「危険が顕在化している」「衝突するかもしれない」「衝突が避けられない」「衝突」「衝突後」という6つの状態に分類し、それぞれの段階に応じて、クルマが最適な安全機能を「シールド」として機能させることで、さらに危険な状態に至るのを防ぐという考え方だ。これらの考えの下に開発されたさまざまな技術により、運転者や同乗者、歩行者などの安全確保を進めている。
さらに、先進運転支援システム「プロパイロット」は、2020年10月時点で87万台に採用されており、グローバルでも日本を中心に、米国、中国、欧州向けにも装着を拡大している。2023年末にはプロパイロット搭載車の年間販売台数は150万台を超える見込みだ。
電動化も併せて進めており、2023年度までに8車種を超える電気自動車を投入する計画。e-POWERをグローバル市場のB、Cセグメントに拡大していく。電動化率についても2023年度までに日本60%、中国23%、欧州50%の目標に向けてラインアップを準備しており、同年度までに年間100万台以上の電動化技術搭載車の販売を目指す。電動化は車両重量との関係が大きいことから、軽量化を図るために鋼材、部品の合理化とともに新しい素材の開発などで対応していく。静粛性についても新素材の採用などで解決していく方針だ。
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