APのIAM(Identity and Access Management)によるアクセス制御の、COM以外のFCへの適用が始まりました。といっても、今回はPHM(Platform Health Management)のみが対象であり、他のFCは今後のリリースで対応されていきます。
APで暗号処理や鍵管理、証明書のハンドリングを行うFCであるCryptography(ara::crypto)のインタフェースが用意され、ようやく他のFCやAdaptive Application(AA)から利用可能になりました。Cryptoの基本サービスは以下の通りです。
CPでのConcept #10:Vehicle Motion Control Interface(VMCI)とはまた別のI/F部分の定義が、APの「ara::adi::sensoritf」として追加されました(R20-11ではAPのみです、CPのAI文書には反映されていません)。
これは、ISO 23150 Road vehicles - Data communication between sensors and data fusion unit for automated driving functions - Logical interfaceで定義される、自動運転用センサー(レーダー、LiDAR、カメラ、超音波センサー)とデータフュージョンユニット間のサービスインタフェース定義を提供しています。
なお、ISO 23150は、2020年11月30日時点ではDIS(国際規格案)段階でしたが、2020年12月2日にステージコードが50.00(FDIS(最終国際規格案)公開の直前段階)に進んでいます。
演算冗長化の際の演算同期機能が追加されました。なお、Software Lockstep動作の詳細は、少なくとも現時点でのAPでの標準化範囲外です。
通信を行うAPベースのECUにセキュリティ侵害が発生してしまった場合の影響を抑制するためのものです。送信側の識別情報と事前に設定されるポリシーに基づき、受信側でのアクセス制御を行います。
複数のプロセスによる同期動作を実現するためのものです。
これらの新規コンセプトは、「validation」と呼ばれるプロセスを経るまではドラフト(draft)扱いとなります。R20-11のリリースではvalidation作業にも重点が置かれており、過去に導入されたコンセプトの幾つかに対して完了し、draftの文字が取れました。
なお、FOTAにも関連のあるコンセプトであるUCM Master(R19-11で導入、R20-11でもdraft状態)に関しては、AP SWS UCMに、AP以外のECU(CP ECUを含む)の書き換えに関するセクションがひっそりと追加されました。そこには、ISO 22900-2:2017 Road vehicles - Modular vehicle communication interface(MVCI)- Part 2:Diagnostic protocol data unit(D-PDU API)に従うべき(should comply)と書かれています。
また、幾つかの文書の追加や移動が、コンセプト以外にも行われています。代表的なものは以下の通りです。
CPでは機能削減も行われています。
次回のテーマですが、現時点では未定のため、またしばらく間を開けさせていただきます。次回はおそらく2021年3月開催のAUTOSAR Open Conference後の見込みです。
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