車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載の第18回では、前回に引き続き、2020年12月に一般公開されたAUTOSARの最新リリース「R20-11」について紹介する。
今回も前回に引き続きAUTOSAR R20-11での変更点のご紹介を中心に進めてまいります。
AUTOSAR R20-11のリリースイベント(2020年12月4日開催)については、前回の掲載では事前にご紹介できませんでした(掲載内容に新規コンセプトなどの情報を含んでおりましたので、R20-11の一般向け公開を待たねばならなかったためです)。もしご覧になれなかった方がおいででしたら、現在、以下のWebサイトで一部動画が公開されていますので、よろしければご覧ください。
⇒AUTOSAR R20-11のリリースイベントのWebサイト
また、同イベントでは「Virtual AUTOSAR Open Conference 2021(12th AOC)」が2021年3月にリモート開催されることも発表されました。以下のWebサイトでも、概要のみですが告知が掲載されています。
⇒Virtual AUTOSAR Open Conference 2021の告知Webサイト
前回は、AUTOSAR R20-11で導入された16の新規コンセプト(表1)のうちの半分、Concept #1〜8についてご紹介しました。
Concepts | FO | CP | AP | 補足 | State | |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | Vehicle Network State Management(VNSM) | x | x | x | 機能拡張 | draft |
2 | Intrusion Detection System Manager(IDSM) | x | x | x | 機能拡張 | partially validated |
3 | System Health Monitor(SHM) | x | - | x | 機能拡張 | draft |
4 | Ethernet Wakeup On Dataline | x | x | - | 機能拡張 | draft |
5 | Classic Platform Flexibility | x | x | - | 機能拡張 | draft |
6 | RS Safety | x | - | x | 記述改善 | draft |
7 | Rework of PNC related ComM and NM handling | x | x | - | 不具合解消 | draft |
8 | Unified Timing and Tracing Approach | x | x | - | モデリング改善 | draft |
9 | 10BASE-T1S | - | x | x | 機能拡張 | draft |
10 | Vehicle Motion Control Interface | - | x | - | モデリング改善 | draft |
11 | Integration of IAM | - | - | x | 機能拡張 | draft |
12 | Crypto API | - | - | x | 機能拡張 | draft |
13 | AD Sensor Interface | - | - | x | モデリング改善 | draft |
14 | Deterministic Synchronization | - | - | x | 機能拡張 | draft |
15 | Static Configuration of Remote ECU Identity and Access Management(SCREIAM) | - | - | x | 機能拡張 | draft |
16 | ara Communication Groups | - | - | x | 機能拡張 | draft |
表1 R20-11の新たなコンセプト一覧(xは影響を受けるプラットフォーム、FO:Foundation、CP:Classic Platform、AP:Adaptive Platform) |
Concept #2の「Intrusion Detection System Manager(IDSM)」が、Adaptive Platform(AP)のFunction Cluster(FC)およびClassic Platform(CP)のBasic Software(BSW)として追加されたことをご紹介しましたが、実はアーキテクチャ面では他にも変更があります。
APのソフトウェアアーキテクチャ(論理ビュー)での、R19-11からR20-11への変化を図1に示します。
これを見ていただくと、IDSMの他に、Automated Driving Interface - Sensor Interfacesが追加されていることが分かりますが、これについては後でご紹介いたします(Concept #13:AD Sensor Interfaces)。また、Core TypesがAdaptive Coreに改称されています。
CPでも、2つのBSWが追加されました(表2)。
また、細かいですが、Complex Driver(CDD)のModule IDの範囲が拡張されています。
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