インタビュー
» 2020年12月24日 10時00分 公開

トヨタも採用するSCMツールのキナクシス、国内2カ所にデータセンターを開設し攻勢製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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トヨタ自動車にもSaaSでサービスを提供

 RapidResponseは、クラウドを用いたSaaSベースの提供形態も特徴の1つになっている。SCM関連でも多くのシステムがクラウドやSaaSによる提供に対応しているが、RapidResponseは2015年から提供形態をSaaSだけに絞り込んでいる。ベンダーに厳しい要件を課すことで知られるトヨタ自動車についても、SaaSで提供しているとのことだ。

 ただし、先述した超高速性能を引き出すには、SaaSを置くデータセンターの場所も重要になる。キナクシスは、RapidResponseのデータセンターを北米と欧州に展開していたが、2018年から東京・品川と大阪の2カ所を追加した。金子氏は「これで海外にデータセンターがあることによる遅延時間の問題も解決できた。日本の製造業の場合、国内にデータセンターが求められることも多いが、そういった要求にも対応できる」と説明する。

日本のサプライチェーンにDXを起こすためには何が必要か

 キナクシスは、日本国内の東西にデータセンターを開設したことにより、これまで以上に国内企業の需要に応えられるようになった。従来の国内での売上高成長率は年率20〜30%だったが、2021年はこれを大きく超える前年比倍増という高い目標を掲げている。

 この高い成長目標の背景にあるのが、国内製造業におけるサプライチェーン改革に向けた意識の高まりだ。金子氏は「これまでも台風や大雨などの風水害によってサプライチェーンに問題が発生したことがあったが、これらは1週間程度で復旧できていた。しかし、あくまでBCP(事業継続計画)の課題としてERPへの投資で対応を図るのが中心だった」と語る。

 しかし、COVID-19の感染拡大というパンデミックによるサプライチェーンへの影響は災害とは大きく異なるものであり、工場で生産を停止する期間が数カ月にわたるなど、災害を前提としたBCPで対応することが難しかったのが実情だ。国内の製造業は、これまでもDXを進めるためにデジタル技術の導入を検討してきたが、COVID-19の感染拡大を契機に、経営サイドがSCMを扱うシステムの革新にも注目するようになっているのだ。

 何より日本国内の多くの製造業は、サプライチェーンの管理においてExcelなどの帳票ソフトを広く活用していることが多い。「現場の担当者が属人的にExcelを使ってサプライチェーン関連のデータを取り扱っている。何百万何千万とあるデータ項目を管理する現場のExcel職人によってサプライチェーンが成り立っているが、そういった熟練技術者が引退する時期も迫っている。そこで、デジタル技術によってデータの共通化を図って誰でもサプライチェーンを管理できるようにしなければ、サプライチェーンにDXは起こせない。RapidResponseであればそれが可能になる」(金子氏)という。

需要予測や工場の生産計画にも展開を拡大

 RapidResponseにより計画系SCMの分野で存在感を高めているキナクシスだが、今後に向けてカバーする領域を広げるための施策も打ち出している。

 まず、小売業やCPGの分野でAI(人工知能)ベースの需要予測ソリューションを展開するカナダのルビクラウド(Rubikloud)を2020年6月に買収している。そして、RapidResponseによる計画と連動する工場の生産計画を最適化するスケジューラーについては、米国のプラネットトゥギャザー(PlanetTogether)と提携し、キナクシスが同社の製品を販売していくことを決めた。

 金子氏は「ルビクラウドやプラネットトゥギャザーの製品や技術は、2021年から本格的に国内顧客にも提案していく。今後も、日本の製造業のサプライチェーン改革に積極的に貢献していきたい」と述べている。

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