中小企業白書2020は、企業が実際に付加価値を獲得していくためには、優位性により「創出」した価値を「価格」に反映し、収益化していくことが重要だと指摘する。付加価値の獲得については、「適正な価格設定」と「取引関係の構築」の2点を挙げている。
図27は、自社の主な製品・サービスの優位性について、競合他社と比較して「大きく優位」又は「やや優位」と回答した企業(以下、優位性の有る企業)に対して、その優位性が価格に十分に反映されているかを確認したもの(以下、優位性の価格反映状況)だが、これを見ると、競合他社と比較して製品・サービスに優位性を有する企業の中にも、優位性が価格に十分に反映されていない企業が約半数存在することが分かる。
中小企業白書2020では、企業が販売価格を設定する際に考慮すべき視点として下記の3点を挙げており、これらのうち最も重視している視点別に企業を類型化している。
(1)を最も重視している企業を「コスト起点型」企業、(2)を最も重視している企業を「競合起点型」企業、(3)を最も重視している企業を「顧客起点型」企業として分析を行っている。優位性の有る企業における価格設定類型の分布について見ると、「コスト起点型」企業が約6割と最も多いことが分かる。また、B2C企業ではB2B企業に比べて相対的に「顧客起点型」企業が多いことが分かる(図28)。
価格設定を考えるに当たっては、「顧客への優位性の発信」「価格競争に参加しない意識」「個々の製品・サービスごとのコスト把握」のいずれの視点も重要になるが、どの視点を重視しているかによって、優位性を価格に十分に反映するために必要な意識や取り組みの状況に違いがあるとしている(図29)。
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