withコロナの時代において、現地対応を余儀なくされる従業員/スタッフの安全と顧客ニーズの双方を満たす、新たなコミュニケーション手段が求められている。その解決策としてPTCは、リアルタイム遠隔支援「Vuforia Chalk」を訴求する。その特長、活用メリットとは?
日常業務において、どのような手段でスタッフ、関係者とのコミュニケーションを実現しているだろうか。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の収束の兆しが見えない中、リモートワーク/テレワークといった、オフィスや現地に赴くことなく業務を遂行する“新たな働き方”が定着しつつある。その際、他のスタッフや関係者とのコミュニケーション手段に多く用いられているのが、Web会議システムやビジネスチャットツールだろう。
これらシステム/ツールによって、それぞれが自宅など別々の場所にいながら、ディスカッションやデータなどを共有しながらのコミュニケーションが可能となった。しかし、「現地現物を目の前にした作業手順の指示」や「工場設備などの突発的なトラブルに対する緊急対応」などが求められるシーンでは限界がある。
例えば、工場設備のトラブルなどにおいては、ダウンタイムを最小限に抑える必要があるため、このコロナ禍においても、エンジニアが至急現地に赴き(遠方の場合は出張を伴う)、現場スタッフとともにトラブル対処に当たるといった現地作業がどうしても発生してしまう……。
withコロナの時代において、従業員/スタッフの安全と顧客ニーズの双方を満たす、新たなコミュニケーション手段が求められている。
こうした課題に対し、音声とビデオ通話、そしてAR(拡張現実)技術を組み合わせることで、現場と遠隔地との効率的なリアルタイムコミュニケーションを実現するのが、PTCが提供する「Vuforia Chalk」だ。
以降、PTCが2020年12月1日に開催したWebセミナー「出張しなくてもいい! 家から・出先からスタッフをリアルタイムで遠隔支援 〜従来のツールとは一線を画した、AR技術による簡単・すぐ使える新しい遠隔支援方法をご紹介〜」の内容を基に、Vuforia Chalkの特長やユースケース、活用メリットなどについて紹介する。
Vuforia Chalkの最大の特長はシンプルな利用形態にある。
工場設備のトラブルを例に説明すると、まず現場スタッフが、Vuforia Chalkのアプリをインストールしたスマートフォン/タブレット端末を介して、遠隔地にいる指示者(熟練エンジニアなど)のスマートフォン/タブレット端末(Vuforia Chalkアプリ)へ接続し、現地のカメラ映像(例えば、トラブルのあった装置の操作盤などの映像)を共有する。遠隔地にいる熟練エンジニアはVuforia Chalkのアプリに映し出された現地映像から状況を判断し、指で画面上に描き込み(例えば○印や矢印、注釈など)しながら、音声で詳しく対処手順の指示などを行う。もちろん、描き込んだ要素は現場スタッフのスマートフォン/タブレット端末の画面上にも表示される。
Vuforia Chalkの画面上では、それぞれ映像に描き込んだ要素がAR技術によって現物に直接描き込んだかのように見える。例えば、現場スタッフがカメラを動かしても描き込んだ要素がズレたり、消えたりすることはなく、見切れている要素がどの方向にあるかのナビゲーションも表示してくれる。また、描き込みが行われた映像のスクリーンショットを保存するセッションサマリー機能も有する(セキュリティ上、端末に保存させたくない場合はこの機能を無効にすることもできる)。
これにより、「大きめのボタンを押す」や「上の方にあるレバーを下げる」といった音声対話のみ(言葉のみ)による曖昧な指示を避けることができ、現物を指し示しながらの的確な支援、相互コミュニケーションが行える。また、装置の稼働音や騒音の大きな環境においても、音声対話のみに頼らない的確な指示が可能だ。
Vuforia Chalkは、スマートフォン/タブレット端末(iOS 13以降、Android 7.0以降)の他、PCのWebブラウザでも使用可能なため、特別なハードウェア投資をすることなく利用できる。また、ハンズフリー端末としてRealWearのスマートグラス「HMT-1」にも対応するという。
Vuforia Chalkの活用ケースとしては、前述した設備や装置の操作/作業支援の他、モノづくりにおける上流工程、例えば、製品のデザインレビュー/デザイン検討におけるリモートコミュニケーションにも活用できるとする。
また、使用環境によっては、通信環境が安定しないケースも考えられる。通常のビデオ通話であれば、映像が乱れたり、カクついたりして、鮮明な現場映像を見る(共有する)ことができないが、Vuforia Chalkは通信環境が不安定な際、通常のビデオストーリーから画像ストリームに切り替えられる「低帯域幅モード」を搭載する。これにより、常に鮮明に現地状況を共有でき、スムーズな遠隔支援環境を提供するとしている。
Vuforia Chalkはユーザー要望の多い機能を中心に毎月アップデートが行われている。今後の機能追加予定としては、マルチエキスパートセッション、自社名によるブランディング、セッション内での資料共有、他のVuforia製品との機能連携の追加、セッション内でのテキストメッセージ通話、定型図形(矢印など)の利用などが挙げられている。
そのうち、現地の問題解決に対して、複数人が遠隔支援するマルチエキスパートセッションについては、既に開発が進んでおり、近々のバージョンアップで機能追加される可能性が高いという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.