アドテックは2020年11月、通信基地局などで使われる鉛蓄電池用のセンシングデバイスと、それを用いて開発を進めているバッテリーの遠隔モニタリング用IoTソリューションを展示した。鉛蓄電池の内部温度や電圧などを測定し、遠隔地のPCから電池の稼働状況などを把握できるようにする。
アドテックは「第2回 組込み/エッジ コンピューティング展 秋」(2020年10月28〜30日、幕張メッセ)において、通信基地局などで使われる鉛蓄電池用のセンシングデバイスと、それを用いて開発を進めているバッテリーの遠隔モニタリング用IoT(モノのインターネット)ソリューションを展示した。鉛蓄電池の周囲環境温度や電圧などを測定し、遠隔地のPCから電池の稼働状況などを把握できるようにする。
鉛蓄電池は他の方式の電池に比べると、低廉であることや電源としての信頼性といった点で高い評価を得ている。このため、国内の通信キャリアの中には通信機器用電源のバックアップとして採用している企業もある。一方で、通信基地局は通常、山中など都心部からはアクセスが難しいエリアに施設を構えている。従来は電池の状況を把握するためにメンテナンス担当者を短期間のうちに繰り返し派遣しなければならなかったが、アクセスの困難性などもあり経費がかさみやすく、通信業界では課題視されていた。
今回アドテックが展示したIoTソリューションは、こうした課題を解決するべく同社が開発を進めるものである。独自開発のバッテリーセンシング用機器とバッテリーを有線で接続することで、バッテリーの周囲環境温度や電圧、蓄電池内部のインピーダンスなどのデータを取得する。
取得したデータはLTEでMicrosoft AzureやAWSなどのクラウドサービスへと送信され、基地局から離れたPCなどからメンテナンス担当者が確認できるようになる。データはグラフの状態で可視化されるので、現況を把握しやすい。これにより、担当者は現地に足を運ぶことなく、定期的に鉛蓄電池のモニタリングが行えるようになる。導入に当たって、基地局や蓄電池の大きさは問わない。
収集可能なデータはセンシング用デバイスの種類によって異なる。デバイスによっては鉛蓄電池内の内部抵抗値の変化量を通じて、電池の劣化度を測定することも可能だ。また、クラウドサービスの種類などは顧客の要望をヒアリングした上で、システムの可用性や拡張性、安全性を総合的に判断して選定するという。
アドテックの担当者は「当社のIoT事業では主に、ハードウェアもソフトウェアも顧客の要望に柔軟に対応する受託開発を展開している。今回展示した遠隔IoTソリューションは開発中の部分があるが、センサーから通信、クラウドサービスまで柔軟に組み合わせて提供できるので顧客のニーズを満たしやすいという強みがある」と語った。
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