最小形状0.2×0.2×0.3μmの超微細3Dプリントをサービス展開:3Dプリンタニュース
キャステムは、永守学園 京都先端科学大学と共同研究を行っている「世界最高精度」をうたう3D光造形装置を用いた、「超微細3Dプリント造形サービス」を開始する。
キャステムは2020年10月7日、永守学園 京都先端科学大学(KUAS)と共同研究を行っている「世界最高精度」をうたう3D光造形装置(Nanoscribeのシステム)を用いた、「超微細3Dプリント造形サービス」を開始することを発表した。
超微細3Dプリント造形サービスを開始 ※出典:キャステム [クリックで拡大]
同サービスは、積層2光子重合の3D造形技術とサブミクロンの分解能を持つIP樹脂により、従来製法では不可能な形状や精度の造形を可能とし、さまざまな超微細製品の製作を、打ち合わせから製品完成まで一気通貫で請け負う。データを預かってモデルを作成したり、サンプル品をスキャンしてデータ取りを行いモデルを作成したりといった対応も行う。要望に応じ、乾式メッキ(スパッタリング)を用い、造形物の表面に白金をコーティングして導電性をもたせることも可能だとする。
超微細3Dプリントの特徴は、以下の通りである。
- 既定サイズ内でほぼあらゆる構造物を造形することが可能(最小形状寸法:0.2×0.2×0.3μm)
- サブミクロン精度により、3Dプリントでは難しい滑らかな曲線、シャープなエッジの再現が可能
- 幅広い材料や造形条件からさまざまな用途にあわせた造形が可能
同サービスは、メカトロニクス、バイオテクノロジー、マイクロエレクトロニクス、光学、医療、材料工学など、さまざまな研究、産業分野での活用が期待されるとしている。
事例:(左)マイクロオプティクス。滑らかな表面を持つ、半球体のマイクロレンズ/(右)バイオミメティクス。CTで撮影したアリを実寸大で造形 ※出典:キャステム [クリックで拡大]
また現在、Nanoscribeのシステムで超微細3Dプリントした造形物は樹脂製だが、両者は次のステップとして、鋳造技術を用いた金属への転写の実現に向けて研究を進めていくという。
⇒ その他の「3Dプリンタ」関連ニュースはこちら
- 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。
- いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。
- 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。
- JVCケンウッドが痛感した3Dプリンタの量産活用における難しさと解決への筋道
日本HP主催「HP デジタルマニュファクチャリング サミット 〜3Dプリンターによる、ものづくりのデジタル革新〜」において、JVCケンウッドは「JVCケンウッドが推進するデジタルマニュファクチャリングの取り組み」をテーマに講演を行った。
- 3Dプリンタの種類と3Dデータのファイル形式
連載「『ミニ四駆』ボディーを3Dプリンタで作ろう」では、前回シリーズで作成したミニ四駆ボディーの3Dモデルデータを使って、実際に3Dプリントするまでの流れを紹介。第1回は、3Dプリンタの種類と3Dデータのファイル形式について解説する。
- 3Dプリンタがなくなる日
3Dプリンタは、3Dプリンタと呼ばれなくなったときに、本当に身近なものになるのかもしれない。FABカルチャーを発信するスタジオを運営する神田沙織氏が、自身の活動を紹介しながら家庭向け3Dプリンタを取り巻く現状について語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.