富士通とファナック、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の3社は2020年10月7日、工作機械業界をはじめとした製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)用のクラウドサービスを提供する新会社「DUCNET(ディーユーシーネット)」を2020年11月に設立すると発表した。
富士通とファナック、NTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)の3社は2020年10月7日、工作機械業界をはじめとした製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX)用のクラウドサービスを提供する新会社「DUCNET(ディーユーシーネット)」を2020年11月に設立すると発表した。
3社では2019年9月に工作機械業界の社内業務の効率化やサービスの高度化を実現するデジタル基盤として「デジタルユーティリティクラウド」を共同開発することを発表。これを実際に事業として運営するために共同事業体として設立するのが「DUCNET」となる。当初は2020年4月にサービスを開始すると発表していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で約半年遅れのスタートとなった。ちなみに「DUCNET」の「DUC」は「デジタルユーティリティクラウド」の略である。
「DUCNET」は2020年11月に事業を開始し、2021年4月からクラウドサービス「デジタルユーティリティクラウド」の提供を開始する予定。資本金は2億5000万円で、富士通が40%、ファナックとNTT Comが30%ずつという株主構成となる。現在の社員は7人で、富士通から3人、NTT Comから2人、ファナックから2人という構成だ。
新たにDUCNETの社長に就任予定の富士通 COLMINA事業本部 戦略企画統括部 シニアディレクターの田中隆之氏は新会社の狙いとして「目指す姿は製造業がDXと新しいデジタルビジネスを展開する場を提供することだ。エコシステムの構築を目指す」と考えを述べている。
具体的には、「デジタルユーティリティクラウド」の展開に合わせて3つの事業を展開する。1つ目は、クラウド上の企業ごとの独立した“場”(テナント)を提供する「プラットフォーム事業」である。NTT Comの知見などを生かしたゼロトラストを実現したデータ管理を行い、参加企業が自社用サービスを実装できる環境を提供する。
2つ目が、DXを支える「シェアードサービス事業」である。デジタル基盤上でのコミュニケーションやデータ共有のための基本機能を提供する他、検索エンジンなどAI(人工知能)による情報活用基盤なども提供する。またIoTを活用した設備データの一括管理ツールなども用意する。
3つ目が提供者と利用者のマッチングを行う「eコマース事業」である。これは工作機械メーカーがデータを収集して得た知見などを集約したアプリやレシピなどを提供するマーケットプレースを支援するものだ。決済代行やサブスクリプションサービスに必要な機能などを提供する。
DUCNETとしては、プラットフォーム事業として提供するテナントの使用量やストアの販売手数料などを収入源とする。また、既に活用している既存システムとの連携なども可能としていく方針。「基本的にはマルチクラウド、マルチエッジを想定している。さまざまなIoTプラットフォームが存在するがそれらのシステムとも連携可能としていく方針だ。とにかくデジタルビジネスを進める障壁を下げていく」(田中氏)。ファナックが展開する「FIELD system」も連携対象だという。
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