トヨタ自動車は2020年10月6日、燃料電池(FC)を使った大型トラックや鉄道車両を開発すると発表した。FC大型トラックは北米で日野自動車と開発し、2021年前半に試験車両を完成させる。2022年にユーザーとの実証、2024年までに量産を予定している。鉄道では東日本旅客鉄道(JR東日本)や日立製作所とともに試験車両を製造し、2022年3月ごろから鶴見線、南武線尻手支線、南武線で試験走行を行う。
トヨタ自動車は2020年10月6日、燃料電池(FC)を使った大型トラックや鉄道車両を開発すると発表した。FC大型トラックは北米で日野自動車と開発し、2021年前半に試験車両を完成させる。2022年にユーザーとの実証、2024年までに量産を予定している。鉄道では東日本旅客鉄道(JR東日本)や日立製作所とともに試験車両を製造し、2022年3月ごろから鶴見線、南武線尻手支線、南武線で試験走行を行う。
トヨタと日野は、2020年3月にも日本国内向けにFC大型トラックを共同開発すると発表していた。北米向けのFC大型トラックの開発は、この取り組みをさらに発展させるものだとしている。日野が北米で投入しているトラクター「HINO XLシリーズ」のシャシーをベースにトヨタのFC技術を組み合わせる。
日野は、北米で中型トラックから大型トラックまでゼロエミッション車をそろえる開発ロードマップ「プロジェクトZ」を発表しており、トヨタと共同開発するFC大型トラックはこのロードマップの一部となる。この他にも、「HINO M」シリーズのシャシーにSEA Electricのモーター「SEA-Drive 120a」を搭載したクラス5(中型トラック)のEV(電気自動車)モデル、Hexagon Purusのフル電動ドライブシステムを搭載したクラス7(中型トラック)のEVトラクター、Xos TruckのX-Packバッテリーと電動ドライブシステムを搭載したHINO XLシリーズのクラス8(大型トラック)のEVモデルをラインアップとする。トヨタなどと組んで電動化に総合的に取り組み、電動トラックを充実させる。
鉄道車両でのFC搭載に当たっては、JR東日本が持つ鉄道車両の設計・製造技術、日立製作所の鉄道用ハイブリッド駆動システム、トヨタが燃料電池車(FCV)の「MIRAI」「SORA」で培ったFC技術を融合。自動車よりも大きな鉄道車両を駆動させるための高出力な制御に対応したFCハイブリッド車両を実現する。
FCハイブリッドシステムは、FC装置と主回路用蓄電池の両方からの電力を主電動機に供給し、車輪を動かす。FC装置は、高圧水素タンクから供給された水素と空気中の酸素で発電。主回路用蓄電池はFC装置の電力とブレーキ時の回生エネルギーで充電する。DC-DCコンバーターと燃料電池からなるFC装置をトヨタが、ハイブリッド駆動システム全体を日立製作所が手掛ける。
開発する試験車両は2両で、最高時速100km、最大走行距離140kmとする。主電動機は出力95kWのものを4基、FC装置は出力60kWの燃料電池を4基、主回路用蓄電池は容量120kWhのリチウムイオン電池を2つ使用する。水素貯蔵ユニットは、最高充填圧力70MPa、容量51l(リットル)の高圧タンク5本を1ユニットとし、4ユニット搭載する。試験車両の愛称は「HYBARI」(HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation)。
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