ソニーは、同社の非接触ICカード技術「FeliCa」向けの次世代ICチップを開発した。「FeliCaセキュアID機能」や耐タンパー技術、「拡張オーバーラップ機能」などを新たに搭載している。
ソニーは2020年9月8日、同社の非接触ICカード技術「FeliCa(フェリカ)」向けの次世代ICチップを開発したと発表した。同年11月頃に、本ICチップおよび本チップを搭載したカード製品の量産の開始を予定している。
同製品は、現行のFeliCa Standard ICチップとの互換性を有しており、クラウドとの連携により第三者の不正利用を防ぐ「FeliCaセキュアID機能」を新たに搭載。「ISO/IEC 9798-4」に準拠したアルゴリズムを採用しており、IDを読み出す際に改ざんを検知できる。
カードとリーダーやライター端末との相互認証や暗号通信では、外部からの内部構造やデータの解析、読み取りを防止する耐タンパー技術を搭載した。暗号方式は、既存サービスとの互換性を有するDES(Data Encryption Standard)、AES(Advanced Encryption Standard)をサポート。PTPP(交通系ICカード用チップのプロテクションプロファイル)に準拠し、セキュリティの国際標準規格「ISO/IEC 15408」の評価保証レベル「EAL6+」も取得している。
また、異なるサービス事業者間でサービスを互いに追加し、データを連携できる「拡張オーバーラップ機能」を新たに搭載。単一のリーダー、ライター環境で異なる事業者のサービスにアクセスできる。FeliCaの標準機能を備えるFeliCa Standard機能に加え、セキュリティ機能を簡易化しファイルシステムを最適化したFeliCa Lite-S機能も搭載している。
さらに、通信データの改ざん検知のみをサポートするセキュリティーオプションも追加。今後は、本チップを搭載したカード以外の形状の製品や対応するリーダー、ライター端末の開発を進める予定だ。
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