澁谷工業とスディックスバイオテックは、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスA型およびB型を、1つの唾液検体から同時に検査診断できる高速PCR検査装置の共同開発を開始した。
澁谷工業は2020年9月7日、スディックスバイオテックと共同で、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザウイルスA型およびB型を同時検査する、高速PCR検査装置を共同開発すると発表した。1つの唾液検体から短時間での同時検査診断を目指す。
今回開発する高速PCT検査装置は、唾液中の3種のウイルスの遺伝子を増幅させ、それぞれ異なる波長で照射した光の蛍光強度を同時に検出し、陽性か陰性を判定する。陽性の場合は、ウイルス量の測定も可能だ。
PCR検査の前処理工程となる唾液からのRNA精製には、スディックスバイオテックが開発した「糖鎖固定化磁性金ナノ粒子(SMGNP)法」を採用。遊離RNAを陰性と判定できるため、偽陽性を回避する。遊離RNAは、感染性がなく「死んだウイルス」と呼ばれるが、従来の手法では陽性と判定されていた。前処理工程にかかる時間は1検体3分程度で、専門的な技術も必要としない。
検査装置は小型で、1台につき8検体を同時に検査できる。独自開発の加温機構と温度制御により、検査時間15分以内を目指して開発を進める。装置開発終了後、2020年内に一般医療機器(クラスI)として届出申請し、販売を開始する予定。価格は未定だが、低価格での販売を検討しているという。
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