MUJINは2020年7月28〜30日にかけて、東京都江東区のロボットセンターで特別内覧会を開催。同社開発のマルチピックハンドを搭載したデパレタイズロボットなど、物流の自動化、省人化に貢献する各種ロボットのデモ展示を行った。デモ展示で披露されたのは、荷下ろしを行うデパレタイズ(荷下ろし)ロボット、パレタイズ(荷積み)ロボット、段バラシロボットなど。
産業用ロボットのモーションプランニング技術開発などを手掛けるMUJINは2020年7月28〜30日にかけて、東京都江東区にある同社ロボットセンターの特別内覧会を開催した。センター内では、物流の自動化、省人化に貢献する各種ロボットを紹介。デパレタイズ(荷下ろし)ロボットやパレタイズ(荷積み)ロボット、段バラシロボットなどの他、ピースピッキングロボットやAGV(無人搬送車)、ACR(自動ケースハンドリングロボット)のデモ展示が行われていた。
MUJINの開発したデパレタイズロボットは、パレット(荷台)上にさまざまな形状のワークが混在している場合でも、ワークの形状や重量を個別に計測して、最適な力と速度でコンベヤーへと荷下ろしするシステムを搭載している。このシステムによって荷下ろし時のワークの損傷を防止する効果が期待できる。同社が独自開発した、ワークの吸着を細かく制御する「MUJIN知能マルチピックハンド」を活用することで、いかなる状態でワークが積まれていても最適な荷下ろし作業が行える。
最大の特徴は、初めてピックアップしたワークのサイズや重量、外装デザインなどの特徴を全てマスターに自動で記録し、2回目以降にピックアップする際の参照データとして活用する機能を搭載した点だ。各ワークのサイズや重量次第で荷下ろし時の最適な運搬速度は変わってくるが、荷下ろしのたびに毎回ワークの計測を行うのは効率的ではない。一度記憶させれば、次からはそれを呼び出すだけでワークの情報が取得できるので、その分、ロボットの荷下ろし速度が向上する。
MUJIN 営業本部 物流営業部 統括 物流技術管理士の藤巻陽二朗氏は「検索時の主な手掛かりとして活用しているのは、ワークの外装にある柄や文字などのデザイン部分だ。この機能を搭載したことで、AI(人工知能)によるディープラーニング(深層学習)などの技術に頼ることなく、使えば使うほど荷下ろしの能力が向上するシステムを実現できた。ただ、記録データが増加するにつれて、データの照合に時間を要するという欠点もある。なので、検索頻度の多い上位1000件などのデータから照合を始めるよう指示するなどの工夫をしている」と語る。
ワークのサイズ測定はロボット上方に設置されたカメラを用いる。ただし初めて扱うワークの場合、上方からの撮影画像だけでは高さが分からず、そのままではワークをコンベヤーに安全に下ろすことが困難である。この解決策として、コンベヤーのへり部分にセンサーを取り付けた。これによって「どのようなワークであっても『その高さでハンドから離せば破損の心配はない』という位置をロボットが自動で認識できる」(藤巻氏)という。
重量は知能ハンドでワークを吸着した際に、ハンド部分に搭載した重量計で測定する。藤巻氏は「重量検査自体は他社も実施しているが、当社の重量計は6軸を備えており偏荷重も認識できるのが1つの特徴だ。これらにワークのサイズ情報を足し合わせて、ロボットはワークの最適な運搬速度を自動で調整する。例えば直方体の形状を取るワークなら、急激に移動させると箱の両端に遠心力がかかってしまい落下しやすくなるのでゆっくり運搬する、といった具合だ」と説明する。
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