段バラシロボットはハンド部分に搭載されたカメラを活用し、パレットに積載された通い箱のへり部分を正確に認識してつかみ、コンベヤーに移すことができるロボットだ。
通い箱のへり幅はとても狭い。これをハンドで正確につかむには、あらかじめへり部分の位置を高精度で把握しておく必要がある。このためハンド部分に直接カメラを搭載することで、通い箱の間近でへり部分を撮影、位置を正確に算出する仕組みを搭載した。これにより、ハンドのグリップ部分で、へりをしっかりとつかめるようになった。
藤巻氏によると「ハンド部分はMUJINの中国拠点であるMUJIN Chinaで製造している。以前は製造を外注していたが、ロボットとの細かな連携に対応できなかったので運搬のスピード感が思うように出せず、それ以来内製化した」という。
また現在は新プロジェクトとして、通い箱やコンテナなど、容器の形状などによってハンドを自動で交換する段バラシロボットの開発にも挑戦しているという。「通い箱やコンテナなど、複数種類の容器で段バラシを行うという顧客も多い。容器ごとに逐一ロボットを導入していると、倉庫のスペースやコスト面が問題になる。パレット単位でハンドの交換が可能なロボットを開発することで、こうした課題も解決できる。1つのパレットの段バラシが完了し、次のパレットが運ばれてくるまでに10秒程度かかるが、その間に自動でハンドを交換すればタイムロスも発生しない」(藤巻氏)。
MUJINのパレタイズロボットは、パレットやかご車など、ワークの積載用器具に合わせて最適な積み付け方法をリアルタイムでシミュレーションしつつ荷積みするという特徴を備える。
積み付け状態は作業空間の上部に取り付けたカメラで常に監視している。万が一、積んだワークが横ずれなどを起こしてシミュレーションで予測していた位置から外れてしまった場合にも、ずれをすぐに検知して、大きな荷崩れが起こる前に積み荷作業を一時停止できる。また、積載用器具のゆがみなども自動で認識して、ロボットアームとの接触を回避するように動く。
積み付けのシミュレーション時には、単に積載効率を高める方法を計算するだけでなく「割れ物は上に置いてほしい」「ラベルが貼られた面を外側にしてほしい」という顧客の要望を積載時の「制約」として集約し、積み方に反映する。藤巻氏は「パレタイズ作業は顧客ごとの細かな要望に応えることが重要だ。こうした取り組みを通じて、人手に頼らない積み付け作業の自動化を実現していくつもりだ」と語った。
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