派遣という働き方について、少し認識が変化してきたのではないだろうか。今度は、技術者派遣で働くメリットを紹介しよう。
まず、技術者派遣会社にエンジニアとして就職すれば、ずっとエンジニアでいることができる。メーカーでは一定のキャリアを積むと、マネジメントに回ることも多いが、エンジニアとして仕事をし続けたい人にとっては、最大の魅力なのではないだろうか。
教育・研修も充実している。社員一人当たりの教育費、教育や研修のコンテンツは、大手メーカーと同等、あるいはそれ以上ということもある。周りには、各業界、各技術に非常に詳しい経験豊富な人たちがそろっているわけで、そういう先輩たちが講師となって、学ぶ場を作っている会社もある。自分が目指す技術者像、あるいは携わりたい業界や製品に対して、足りないスキルを身につけることも可能だ。そうして準備をすれば、自分の関わりたい開発を行っている企業に派遣されるチャンスも増えるわけだ。
またメーカーが新たなプロジェクトを立ち上げる際に、必要な技術を持っている人材を派遣会社に求めることも珍しくない。そのため、最先端の製品開発に参加したり、新しい技術に触れたりする機会は、メーカーの中で開発しているより多いかもしれない。
「技術者派遣の会社を紹介すると、多くの場合『メーカーはないのか』と質問される。しかし大手企業や開発環境の整った会社に派遣され、むしろクオリティの高い仕事ができる可能性は高い」と関寺氏。ただし、求められるエンジニアであること、常にスキルを磨き、エンジニアとしての価値を高め続けなければならないことは、言うまでもない。
デメリットは、同じ職場でずっと仕事をするのが難しいことだ。中には、同じ会社に派遣され続けることもあるが、それはまれなケース。職場、あるいは勤務地が一定期間で変わるのはデメリットかもしれない。
またモノづくりのプロセスのうち、関われるのは開発以降であるケースが多い。製品のコンセプト設計から完成まで、一貫して関わりたいという人にはお勧めできない。
ここまで読んでこられた方は、どんな人が技術者派遣会社に向いているか、おおむねお分かりだと思う。
まずいろいろな会社、技術に触れることが多い働き方なので、好奇心旺盛な方にお勧めだ。技術者派遣会社ならば、40歳代、50歳代でも、新しいことにチャレンジできる。
また「こういうモノづくりをしたい」「こういう技術を身に付けたい」あるいは「ずっとエンジニアとして仕事をし続けたい」など、自分のキャリアについて志向がはっきりしている方も向いている。
「派遣は、アウトソーシングの一つの形態にすぎない。ビジネスを効率化するためにコンサルタントを入れるように、必要な技術を持っている外部の人に一部の仕事を頼むということ」と関寺氏。自分のスキルを磨き、経験を積み、必要とされる開発現場に「助っ人」として行く。エンジニアにとって、魅力的な働き方の1つなのではないだろうか。
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