不透明な市況感を背景に、企業は採用に慎重になっている。面接で“会って”もらうためには、その前の書類選考での「職務経歴書」が重要となる。では職務経歴書はどう書けばいいのか。転職コンサルタントに話を聞いた。
これまでの連載の中で、採用する企業側の選考基準が厳しくなってきていることを紹介したが、それは面接だけではない。1年ほど前から徐々に、書類選考のジャッジも厳しくなっている。不透明な市況感を背景に、採用に慎重になっているからだ。では書類選考のカギとなる職務経歴書は、どう書けばいいのか。自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャーの関寺庸平氏に聞いた。
パーソナルな情報を記載する履歴書に対し、それまでの仕事内容について具体的に記載するのが職務経歴書。自分の経験や強みなどをアピールできる重要な書類だ。履歴書は項目が定型化されているが、職務経歴書には本来決まりはない。とはいえ、記載すべき内容はある程度一般化しており、インターネットでも「職務経歴書の書き方」といった情報は多々ある。
しかし「以前なら問題なく通過したような方でも、書類選考を通過しないケースが増えてきている。求職者が応募要件から推測する以上に、企業側が厳しく判断していることは間違いない」と関寺氏。就職、転職のための手続きというより、「いかに自分をプレゼンし、直接話してみたいと思ってもらうか」という意識が重要と言えそうだ。
実際企業側は、職務経歴書から何を読み取ろうとしているのか。
単純に「これができる」「こういう経験がある」といった「点」ではなく、「当社に長く貢献してもらえる人なのか」という「線」を見ようとしている。「それは面接で見てもらうことと思うかもしれないが、職務経歴書の段階で線をイメージしてもらえればもらえるほど、書類選考の通過確率は高くなる」と関寺氏はいう。
では「線をイメージしてもらえる職務経歴書」を書くには、どうしたらいいのか。
まず1つは、自分の強みと、採用する企業、あるいはその部署のニーズが重なる部分を、しっかり、分かりやすく書くこと。そのためには、採用側がどんなスキルを求めているのか、どんな人材を必要としているのかなど、できるだけ具体的に想定する必要がある。
例えば、中途採用のエンジニアといえば、プロジェクトをけん引するマネジメント型と、要素技術の開発などに携わる研究開発型に二分されるのが一般的だったが、近年は、どちらかに軸を置きつつも両方を期待するハイブリッド型も求められる傾向がある。しかしそういった企業の意図は、応募要件を見ただけは分からないのが難しいところ。企業のホームページなどで情報収集するのはもちろんだが、他社、他部署との違いや、その職種を募集している理由など、背景を知っているエージェントを活用するのも一案だ。
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