もう一つ最近の傾向として、職務経歴書に書かれたことから、その人の人物像を知ろうとする企業が目立つようになっていることがある。「学生時代に何を勉強し、どんな仕事をして、何を身に付けたのか。その仕事は社内においてどういう位置付けで、どんなマインドで取り組んできたのか。これから何をしたいと思っているのか。そういうキャリアのストーリーをイメージして、自社に合う人材かどうか見ようとしている」(関寺氏)という。
人物像をイメージできるような職務経歴書は、そう簡単に書けるものではない。時間が経てば、学生時代や昔の仕事のことは忘れてしまう。そこで転職活動を始める前に、一度ベースとなる職務経歴書を作っておくことをお勧めする。そのベースを毎年アップデートしたり、応募する業界や職種に応じて数パターンに書き分けたり、カスタマイズしたりするといいだろう。一度書いてみると、いきあたりばったりに思えたことが意外とつながっていたり、自分にとって大事なことが見えたりと、気付きもあるはずだ。
企業が求めている人物像は、その企業のWebサイトの「新卒採用」ページにもヒントがある。新卒はスキル評価が難しく、人物評価に重きを置くからだ。企業の理念や活躍している社員、どういう人が欲しいのかといった情報は、職務経歴書だけでなく、面接にも役立つ。
最後に書類作成の観点からポイントを整理しておこう。
「職務経歴書は、商品のプレゼンと同じ」と関寺氏。フォーマットは、要約→具体的な仕事内容→自己PRという、基本的なプレゼンのスタイルと同じだ。伝えたいことはたくさんあるかもしれないが、あまりダラダラと長いのは逆効果。関寺氏は「20歳代なら1枚、30〜40歳代なら2〜3枚」とアドバイスしているそうだ。
情報処理能力が重要視される昨今、文書の構成、要約や伝える能力も企業の判断材料の一つとなっている。ポイントは、適量で、読みやすく、分かりやすく。関寺氏は「自分が伝えたいことが伝わる、最小の文章量で書くのがベスト」という。
「自分が書いた職務経歴書は、希望の企業に適しているのか」は気になるところ。「通過した職務経歴書も、見送られた職務経歴書もたくさん見ているのはエージェントならでは」(関寺氏)だろう。最初の関門でありながら、重要度が増している職務経歴書。その企業、業界などの特徴やジャッジの傾向も理解しているエージェントに登録して、アドバイスを受けるのもいいかもしれない。
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