PFNが自律移動型作業ロボットの量産設計を開始、搬送や消毒用途で実証実験も : 産業用ロボット
Preferred Networksは2020年6月22日、開発中の移動型マニピュレーターロボットの量産設計を進め、無人搬送や無人消毒の用途で、工場や実験室、オフィス、病院、福祉施設などでの実証実験を開始すると発表した。
Preferred Networks(プリファードネットワークス、以下PFN)は2020年6月22日、開発中の移動型マニピュレーターロボット(ロボットアームと作業用ハンドを備えた自律移動型の作業ロボット)の量産設計を進め、無人搬送や無人消毒の用途で、工場や実験室、オフィス、病院、福祉施設などでの実証実験を開始すると発表した。
PFNでは2015年にファナックと資本業務提携しパートナーとしてロボット事業にかかわってきた。さらに、2018年に「全ての人にロボットを」というコンセプトを発表し、ロボットが身近な場所で活躍する社会の実現に向け、あらゆる現場に低コストで導入できるロボットの開発を進めてきた(※) 。
(※)関連記事:「ロボットはPCと同じ道をたどる」PFNが描くロボットの将来像
今回のプロジェクトは、経済産業省の「令和2年度 グローバル・スタートアップ・エコシステム強化事業費補助金(ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業)」に採択されたもので、2020年6月〜2021年2月の期間中に、移動型マニピュレーターロボットのハードウェアの量産設計を進め、多様な施設での実証実験を通じて製品としての作り込みを行うというものだ。
開発中の移動型マニピュレーターロボットは、物理的インタラクションや安全性にかかわる制御レイヤー(ソフトウェア技術)から、アーム部分やエンドエフェクター(ハンド)、モビリティ(ハードウェア技術)まで、PFNが統合的に設計開発していることが特徴だ。これらを自社開発することにより、製品化に向けた安全性や性能の向上、必要な機能の選定、製造コストの低減を進める。
今回は実証実験だが、将来的には人手不足や人が立ち入ることが望ましくない現場において、自律走行による搬送業務や感染症対策での無人消毒業務などに活用することを想定しているという。
移動型マニピュレーターロボットのイメージ(実際に開発中のものとは異なる)
「ロボットはPCと同じ道をたどる」PFNが描くロボットの将来像
「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、千葉県・幕張メッセ)の基調講演にPreferred Networks(以下PFN)代表取締役社長兼最高経営責任者の西川徹氏が登壇。「全ての人にロボットを〜Robots for Everyone」をテーマに講演した。
製造業IoTに新たなデファクト誕生か、ファナックらが人工知能搭載の情報基盤開発へ
ファナックやシスコシステムズら4社は、製造現場向けのIoTプラットフォームとして「FIELD system」を開発し、2016年度中にリリースすることを発表した。競合メーカーの製品なども接続可能なオープンな基盤とする方針。製造業IoTでは各種団体が取り組むが、ファナックでは既に製造現場に350万台以上の機器を出荷している強みを生かし「現場発」の価値を訴求する。
いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。
製造現場での普及を2倍に、ロボット新戦略が目指すロボットと共に働く未来
日本政府が主催する「ロボット革命実現会議」は、ロボット活用の技術的および規制面でのロードマップを示した「ロボット新戦略」を発表した。本稿では、この新戦略の中で示されている「モノづくり」分野への取り組みにフォーカスし、その内容を紹介する。
ロボット活用拡大のボトルネック、ロボットインテグレーターの現実
あらゆる現場で労働人口不足などが深刻化する中、その解決策としてロボット活用への期待が高まっている。しかし、現実的にはロボットを現場で実装するロボットシステムインテグレーターが不足しており、ロボット活用の裾野が広がらない状況になっている。経済産業省 関東経済産業局がまとめた「ロボットシステムインテグレーターに関する調査結果」の内容をまとめた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.