富士経済は2020年6月9日、コネクテッドカーの世界市場に関する調査結果を発表した。コネクテッド機能を備えた新車の販売台数、通信形態やダイナミックマップ対応モデルなどを対象に市場規模を調べた。コネクテッド機能を備えた新車の販売は、2035年に2019年比3.0倍となる9420万台に拡大する見通しだ。中国がけん引役で、欧米も堅調に推移するが、日本は小幅な伸びにとどまりそうだ。
富士経済は2020年6月9日、コネクテッドカーの世界市場に関する調査結果を発表した。コネクテッド機能を備えた新車の販売台数、通信形態やダイナミックマップ対応モデルなどを対象に市場規模を調べた。コネクテッド機能を備えた新車の販売は、2035年に2019年比3.0倍となる9420万台に拡大する見通しだ。中国がけん引役で、欧米も堅調に推移するが、日本は小幅な伸びにとどまりそうだ。
コネクテッド機能を備えた新車の2019年の販売台数は、前年比17.7%増の3120万台となった。しかし、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による自動車の生産停止や、経済の減退などマイナス要因が見られる。厳しい環境の中でも自動車メーカーらはコネクテッドカーを含む先進分野へ投資を継続する方針であり、今後コネクテッドカー市場は成長すると見込む。新車に占めるコネクテッドカー比率は、2035年に乗用車で80%、商用車で75%に増加するとしている。乗用車は2019年の34%から大幅に伸びる。
地域別では、現在は北米や欧州がコネクテッド機能を備えた新車の市場をけん引しており、通信形態は車載通信機を中心に伸長する。長期的に市場をけん引する中国は、車載通信機に加えて、インフォテインメントシステムにスマートフォンを接続するタイプも順調に伸びる。このため、コネクテッド機能を備えた新車の販売は2035年に2019年比4.8倍の2690万台に拡大する。中国は国家レベルで車載通信機を搭載したコネクテッドカーを推進しているため、DSRCの普及は難しいという。
V2Xに使用するDSRCは、現状の市場規模は10万台にとどまる。日本のITSコネクト対応車種が中心だ。DSRCとセルラー通信を併用するハイブリッド車載器によって、一定の需要は期待されている。
日本は新車販売に占めるコネクテッドカー比率が現時点でも75%と高いが、新車販売台数自体の成長が見込めないため、コネクテッドカーについても大幅な伸びは期待できないとしている。通信形態は、現在はインフォテインメントシステムにスマートフォンを接続するタイプが先行しているが、将来的には車載通信機の採用が伸びる。DSRC車載器は堅調な需要を見込む。東南アジアやブラジル、インドなど新興国では、低コストに利用できるスマートフォン接続タイプが市場をけん引すると見られる。
車載通信機は、2019年時点でコネクテッドカーの60%以上に採用されており、5Gの本格開始に伴って2022年の採用率は75%に拡大する。スマートフォンの通信機能を利用するタイプのコネクテッドカーは、Apple「CarPlay」やGoogle「Android Auto」の普及に後押しされている。スマートフォン側の進化を取り込みやすく、ユーザーのニーズに合わせた柔軟なサービスを提供できる点が強みとなる。
CarPlayやAndroid Autoをメインの機能に据え、従来のようなナビゲーション機能を省略したディスプレイオーディオも増えている。しかし、自動車メーカーがインフォテインメントシステムによって車種のブランディングを図っていることから、従来のようなナビゲーションシステムも引き続き成長し、2035年には2019年比91.0%増の4030万台に拡大する。
ダイナミックマップは、採用車種が現時点では少なく2019年の市場規模は1万台と見られるが、2035年には256万台まで拡大すると見込む。現在はGM(General Motors)が北米向け、日産自動車が日本向けのレベル2の自動運転システム搭載車で採用している。短期的には一部車種での搭載となるため、市場拡大のペースはゆるやかになりそうだ。高速道路での長時間走行が多い中国や北米、欧州などで今後需要拡大が見込まれる。また、レベル2の自動運転ではダイナミックマップは必須の技術ではないが、レベル3以上の自動運転でニーズが高まり、2035年以降の市場拡大も期待できるとしている。
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