では半導体業界は、どういう職種を募集しているのか。関寺氏は「大きく分けて、設計・開発エンジニア、半導体製造のプロセスエンジニア、製造装置のフィールドエンジニアの3つ。このほか、品質管理、実験や不具合解析が若干ある」と言う。
半導体そのものの設計・開発は、家電やクルマ、機械の回路設計とはまったく別物。何らかの回路設計の経験者であったとしても、半導体への技術転用は、ほぼできない。そのため、採用ニーズは高いものの、同業界での経験者でなければ難しいのが現実だ。それに対して、半導体製造装置の設計・開発ならば、比較的間口は広い。
製造装置のフィールドエンジニアは、半導体業界に限らず安定的に募集している職種。景気の善し悪しにかかわらず、メンテナンスは常に必要だからだ。半導体に限ると、製造装置が非常に繊細であるが故に、特に導入時期には試運転や稼働状況の見守りなど、多くのフィールドエンジニアが必要になる。製造装置そのもののプロセスの理解、あるいは機械や電気に関する基本的な素地があれば、異業種の経験も比較的生かしやすい。
半導体業界の現場は“常に忙しい”と言われている。プロセスエンジニアやフィールドエンジニアは、毒性の高い薬品やガスも扱うので、厳しく安全性は確保されていても、リスクと感じる人もいるだろう。
しかし、コロナ禍でもメモリやセンサーは伸びているし、今後の伸びも期待できる業界だ。「半導体は、非常に繊細かつ最先端の技術。まだ世の中にない技術を取り扱える、身につけられる、という技術的な面白さがある」と関寺氏。エンジニアとしては、魅力的な分野ではないだろうか。
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