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車いす型自動運転モビリティが羽田空港に正式導入、COVID-19対策にも貢献モビリティサービス

WHILLは2020年6月8日、羽田空港第1ターミナルにおいて、車いす型の自動運転パーソナルモビリティの導入が決まったと発表した。

» 2020年06月10日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 WHILLは2020年6月8日、羽田空港第1ターミナルにおいて、車いす型の自動運転パーソナルモビリティの導入が決まったと発表した。長距離の歩行に不安を感じる空港利用者を対象に、保安検査場から搭乗口まで自動運転モードで移動できるようにする。搭乗口で利用者が降りた後は、無人運転で保安検査場まで戻る。空港での車いす関連のコスト増加と、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染防止への対策として導入された。

空港での導入イメージ(クリックして拡大) 出典:WHILL

 大規模な空港では移動や乗降に支援を必要とする利用者が増えており、車いすによる介助や利用後の車いすの回収などの予算も拡大している。年間数十億円の予算を割り当てるケースもあるが、欧州では乗客が必要とする支援を事業者が無償で提供するよう義務付けられている。一方で、空港利用者からは、車いすを使うことに対する抵抗感や、空港の介助スタッフに対する遠慮の声があったという。

車いす型の自動運転パーソナルモビリティ(クリックして拡大) 出典:WHILL

 自動運転技術を取り入れた車いす型パーソナルモビリティを活用することで、空港側のコスト低減と、利用者の心理的なハードルの解消を両立する。

 また、通常の車いす介助の場合、介助スタッフと利用者がCOVID-19感染防止で十分な距離を保つことが難しかったが、自動運転技術によって介助スタッフを頼らずに利用者が移動できるようにする。さらに、パーソナルモビリティで自由に移動できるようにすることで、施設内の回遊を促進し、消費の拡大にもつなげられると見込む。

 WHILLの自動運転システムは、車いす型パーソナルモビリティの自動走行・自動停止機能と、複数の自動走行対応パーソナルモビリティを管理、運用するシステムで構成されている。また、パーソナルモビリティがインフラに依存せず現在地の推定を行えるようにしている。WHILLは2019年にオランダのアムステルダム・スキポール空港、羽田空港、米国ダラス・フォートワース国際空港、アラブ首長国連合のアブダビ国際空港、カナダのウィニペグ国際空港で車いす型の自動運転パーソナルモビリティの実証実験を行い、通算400人に利用されたとしている。

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