「作る」という行為を消費者に取り戻す――転換期を迎える「Maker Faire」ポスト・メイカームーブメント(3)(3/3 ページ)

» 2020年04月06日 10時00分 公開
[越智岳人MONOist]
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日本のMaker Faireは地方へ裾野を広げる

 2019年から日本のMaker Faireは地方開催を増やしている。2019年5月に「Maker Faire Kyoto 2019」(京都)、2020年1月に「Sendai Micro Maker Faire 2020」(仙台)、2020年2月には筑波大学や筑波出身のベンチャー企業関係者などによる運営委員会との共催で「Tsukuba Mini Maker Faire 2020」(茨城)が開催された。

Sendai Micro Maker Faire 2020 2020年1月に仙台で開催された「Sendai Micro Maker Faire 2020」(撮影:筆者) [クリックで拡大]

 いずれのMaker Faireも地元のMakerがユニークな作品を出展し、多くの来場者で会場はにぎわった。Maker Faireがまいた種は都市圏だけでなく、地方にも広がっている様子が各会場からうかがえた。

 その1つであるSendai Micro Maker Faire 2020では、「家庭ができてから都内のMaker Faireに気軽に参加できなくなったので、地元開催はうれしい」と話す出展者がいた。また、「Maker Faireの存在は知らなかったが、知人から紹介されて初めて参加した」という声も聞いた。日本最初のMaker Faireから12年が経過し、ライフスタイルが変化した出展者もいれば、Maker Faireもメイカームーブメントも知らない作り手もいる。2019年から始まった3つのMaker Faireは規模の差はあるにせよ、各地域に根付いたイベントとして今後も開催されていくだろう。



 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、2020年5月予定の「Maker Faire Kyoto 2020」が中止を発表。その代わりに1日のみのオンラインイベントを開催するとアナウンスしている。また、本家のMaker Faire BayAreaも開催を見送った。不測の事態に足を引っ張られている状況ではあるが、Maker Faireの文化とビジネスを両立する取り組みはこれからも続くだろう。

 同時に、Maker Faireが撒いた種は各地に広がっている。次回は日本各地で開催されているローカルな展示イベントについて紹介したい。(前編終わり/次回に続く

筆者プロフィール

越智 岳人(おち がくと)

複数のB2B業界でWebマーケティングに携わった後、2013年に技術系Webメディア「fabcross」を立ち上げ、国内外のハードウェアスタートアップやメイカースペース事業者、サプライチェーン関係者との取材を重ねる。

2017年に独立。現在はフリーランスとして国内外で取材活動を続ける他、ハードウェアスタートアップを支援する企業や自治体向けのコンサルティングに携わっている。


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