2020年に入って無線局免許の交付が始まったローカル5Gの導入形態については、事業者がローカル5G網を所有かつ運用し、自社(ユーザー企業)がこれを利用する「サービス型」を求める声が強くなっている。自社がローカル5G網を所有し、運用も自社自身で行う「自営型」とともに44%ずつで拮抗している。なお、「サービス型」と「自営型」の折半に当たる、自社がローカル5G網を所有し、運用をアウトソーシングする「アウトソーシング型」は12%にとどまった。「従来のネットワークインフラへの投資とは異なる傾向で、所有から利用への流れ、スモールスタートへのニーズなどが背景にあると考えられる」(小野氏)。
5Gの使いどころについては、「新しい映像体験」「『現場』の課題解決」「社会システムの全体最適化」の3つに集約することができるとした。小野氏は「5Gという技術がIoTやAI、ビッグデータと異なるのはネットワークである点、つまり、現場で使える、広域で使えるという点だ」と指摘する。企業の現場には共通課題があり、産業分野ごとの先進企業がそれらの改題解決に取り組んでいる。これらがソリューション化されて多くの産業や企業に展開され、より広範な社会課題の解決につながっていくという流れが見えてくる。「ただし、広範な社会課題解決まで行くには、採算性を向上するとともに、データ社会の隅々まで張り巡らされた毛細血管になれるような信頼できる無線ネットワークになる必要がある」(小野氏)。
その上で、国内法人向け5G関連IT市場については、2020年当初はかなり小さな規模にすぎないものの、真の使いどころであるDXの進展と相互作用で成長すると予測。2020〜2026年の年間平均成長率が198%になったのはこのためだという。
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