サイバネットシステムは、ANSYSが提供するマルチフィジックス解析ソフトウェアの最新版「ANSYS 2020 R1 日本語版」の提供を開始した。システム設計やEMC/EMI設計において、製品の安全性能向上につながる機能を追加している。
サイバネットシステムは2020年2月4日、ANSYSが提供するマルチフィジックス解析ソフトウェアの最新版「ANSYS 2020 R1 日本語版(ANSYS 2020 R1)」の販売、技術サポートを開始した。システム設計やEMC(電磁気的両立性)、EMI(電磁干渉)設計において、製品の安全性能向上につながる機能を追加している。
ANSYSは、構造、熱流体、電磁界、回路、システムなどのさまざまな物理現象やそれらを組み合わせた連成問題を、目的に合わせてシミュレーションできる。最新版ででは、新たな機能を追加した。
システム解析では、品質、安全性、信頼性を解析するツール「ANSYS medini analyze」が自動運転の安全規格SOTIFをサポート。より多角的な安全分析を実施できる。システム設計シミュレーションツール「ANSYS Twin Builder」には、新たにバッテリーウィザード機能を追加した。ナビゲーションに従って設定すると、実験データなどから充電率、温度を考慮した等価回路バッテリーコンポーネントを作成できる。
データインポート機能を強化し、Excelなどの中間ファイルを介さずに、構造解析や流体解析の解析結果を「Dynamic ROM Builder」へ直接インポート可能になった。3D解析結果データを1Dモデル化する手順が簡略化され、1Dシミュレーションを迅速に実施できる。
CISPR25やIEC 61000-4-2といったEMI/EMCの規格に対応し、自動運転や5Gデバイスのノイズ対策を効率よく検討できる。また、モーターやトランスに用いるリッツ線専用のモデリング機能を追加。パラメーターを専用のダイアログで入力すると、表皮効果と近接効果を精度よく再現するため、正確に銅損を把握できる。
さらに、接触解析には、指数関数的に変化する垂直剛性の更新オプションを追加。トポロジー最適化手法のレベルセット法に対応し、これまでの密度法に比べ、より滑らかな最適化形状を取得できる。「ANSYS Fluent」のフォルトトレラントメッシング機能も強化しており、表面に欠損があるCADモデルでも高品質なメッシュを自動作成できる。
3D設計では、リアルタイムシミュレーション「ANSYS Discovery Live」により、計算効率を改善した。GPUメモリよりも低いメモリ容量で解析するため、薄板構造物のシミュレーション精度が向上し、筐体設計にも適用できる。解析実行後、瞬時に定常の結果を表示できるため、計算時間を短縮する。
マルチプルソルバーの「ANSYS Discovery AIM」は、新たに超弾性材料、異方性弾性材料に対応。ゴム製品やプリント基板の構造解析を高精度に計算可能になった。
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