名古屋大学は、高速流体をリアルタイムに計測/制御するシステムを構築した。機械学習によるモデル化と制御アルゴリズムにより、2000Hzでのリアルタイム流体制御に成功している。
名古屋大学は2025年6月17日、高速流体をリアルタイムに計測/制御するシステムを構築したと発表した。機械学習(ML)によるモデル化と制御アルゴリズムにより、2000Hzでのリアルタイム流体制御に成功した。
空気や水など流体の速度分布の計測には、流速の面情報を得られる粒子画像流速計測法(PIV)が用いられる。この手法は画像解析技術をベースとするため、高速な空気の流れでは解析に時間がかかり、リアルタイムな計測と制御が困難だった。
研究グループは2023年に、低次元モデルとセンサー位置最適化技術を組み合わせた、疎点解析粒子画像流速計測法(スパースプロセッシングPIV)を実証している。今回、この技術とプラズマアクチュエーターを組み合わせ、リアルタイム流体制御を可能にした。
その際、MLで事前に流れの挙動をモデル化しており、先進の制御アルゴリズムを用いて高速に最適化した。プラズマアクチュエーターの駆動をリアルタイムに制御でき、物体の後流側で発生するカルマン渦による流れの非対称性を有意に抑えられることが示された。
今後、同技術を利用した流体制御のアプリケーションが増え、その理解を深めることで流体機器の性能向上へ寄与する。スパースプロセッシングPIVは汎用(はんよう)性が高く、さまざまな分野で計測をリアルタイム化し、計測に基づく制御につながることが期待される。
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