ギリアは「CEATEC 2025」において、設計に関する知見を蓄積し生成AI経由で活用できるようにする「GHELIA Auto Deck」を紹介した。
ギリアは「CEATEC 2025」(2025年10月14日〜10月17日、幕張メッセ)において、設計に関する知見を蓄積し生成AI(人工知能)経由で活用できるようにする「GHELIA Auto Deck」を紹介した。CAEなどのシミュレーション結果を自然言語でのやりとりで活用できるようにすることで、設計者の設計以外の検索時間などを削減し、業務効率化に貢献する。
ギリアは2017年に設立されたAIベンチャー企業で、AIに関するコンサルティングや受託開発などを行っている。その中で、顧客企業からの問い合わせが多かったのが、製造業の設計現場における知見の活用だ。製造業の設計現場は人手不足が深刻化する一方、技術文書の検索や、過去の類似設計内容の確認などに多くの時間が奪われ、実際に設計作業にかける時間が捻出できない問題が生まれていた。そのため、設計における知見をAI活用で効率化することを目指し、GHELIA Auto Deckを開発したという。
GHELIA Auto DeckはAIを活用し「設計関連データを検索可能な形に整理する」という機能を果たす。まず、ユーザーが保有するCADデータと、CAEによるシミュレーションデータをSTEPファイル形式にしてGHELIA Auto Deckに保存する。GHELIA Auto Deckでは、画像から説明文を生成する他、CADデータの構造化、シミュレーションデータの構造化を行い、設計ナレッジとして誰もが検索可能な状態にする。「再構築した内容を一度人手でチェックする必要はあるが、多くの部分を自動で行うことができる。このデータの整理と構造化の部分がギリアの強みだ」(担当者)。
整理されたデータベースを参照することで、一般的な生成AIを経由してユーザーが自然言語で質問しても、最適な設計に関する知見や過去のシミュレーション結果などを簡単に探し当てられるようになる。「過去の知見や類似知見の検索スピードが大幅に高まるとともに、仕様書などのフォーマットに合わせた形で出力することも可能で、設計リードタイムの大幅な短縮につながる」(担当者)とする。
GHELIA Auto Deckは現在先行ユーザーを中心に実証を進めており、製品提供は2026年春を予定する。「自動車などでモデルベース開発を進める際に大きな力を発揮する。既存の設計を流用するのか、新規設計するのかの判断なども素早く行える」(担当者)。今後は、CAEによるシミュレーションデータだけでなく、物理的な試験データや過去のトラブルデータなどもデータベースに整理して登録可能とすることも検討しているという。「既存のPDMなどでは、採用された設計データは残されていても、採用されなかったもののデータや失敗の記録などは検索できる形で残されていない。それらも含めて知見として活用できるようにしたい」(担当者)。
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