日立製作所は国分工場の敷地内にある高電圧大電力試験所の見学会を開催した。将来的には同試験所の設備を活用した「電圧/電流試験のサービス化」を進めていくという。
日立製作所は2020年2月17日、国分工場の敷地内にある高電圧大電力試験所(茨城県日立市)の見学会を開催した。同試験所は高電圧試験設備や大電力試験設備を活用して、変圧器や遮断機、断路器、スイッチギア、電力ケーブル、ガラスといった試験品の耐電圧性能や耐電流性能を試験できる施設だ。
高電圧試験設備には、変圧器などの絶縁耐力試験や形式試験に用いる交流高電圧発生装置の他、電力ケーブルなどの絶縁耐力試験に使う直流高電圧発生装置、落雷などで生じるサージ電圧への耐性を試験するインパルス電圧発生装置が含まれる。また、日立製作所の説明員によると、「インパルス電圧発生装置は、風力発電用の風車に使われているブレード(羽)の試験に使われることもある」(同説明員)という。風車は山間部に設置することも多いが、そうした地帯では落雷が発生しやすい。このため、ブレードにはサージ電圧への耐性が強く求められるのだという。
大電力試験設備は、送電線の事故電流に匹敵する大電流を発生させる短絡発電機と、そこで発生した電圧、電流を試験品に合わせて調整する短絡変圧器、試験開始のタイミングを適切に調整する「投入機」などの装置で構成された設備だ。各装置の電気信号を光信号に変換して計算機に伝送する光アイソレーションデジタル計測装置や、自動データ処理システムによって高精度の測定が行える。
また、高電圧大電力試験所の特徴として、国際標準規格である「ISO/IEC 17025」の適合認定を取得している点が挙げられる。第三者認定機関である日本適合性認定協会(JAB)から取得したもので、各種試験の測定プロセスや測定結果に高い信頼性が認められた証明になる。日立製作所全体で見ても、高電圧分野で第三者認定を受けているのは高電圧大電力試験所だけだ。
同試験所はこれまで日立製作所の製品試験を主業務としていたが、「製造業全体の『モノからコトへ』のという流れの中で、試験業務をサービスとして外部に提供する」(同説明員)ことを検討しているという。サービス化した場合の強みについて同説明員は「国際標準規格に従って試験報告書を作成するため、国内メーカーはもちろん、海外メーカーとも試験報告書を共有できるようになる」と説明した。また、サービス化した場合はISO/IEC 17025に従い、依頼者の情報や試験内容、結果について守秘義務を徹底し、日立製作所の社内でも開示しないなど、情報の機密性には細心の注意を払うとしている。
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