大阪大学は、皮膚のように薄膜で軽量の磁気センサーマトリクスシートシステムを開発した。人の肌にも貼付できる柔軟性を持ち、従来の磁気センサーより感度が約10倍向上した。
大阪大学は2020年1月23日、皮膚のように薄膜で軽量の磁気センサーマトリクスシートシステムを開発したと発表した。人の肌にも違和感なく貼付できる柔軟性を備えたシート型磁気センサーシステムで、従来のものより約10倍感度が向上した。同大学産業科学研究所 教授の関谷毅氏らと、ライプニッツ個体・材料研究所の共同研究の成果となる。
研究チームは、有機トランジスタと呼ばれる柔らかい電子素子と巨大磁気抵抗素子と呼ばれる磁気センサー素子を、厚さ1.5μmのプラスチックフィルム上に集積する技術を開発。システム化に必要な電源回路、自動センサースキャン機構、信号増幅回路、磁気センサーマトリクスを統合することに成功した。
微弱な磁気信号も高感度に検出するため、従来の柔軟磁気センサーよりも1桁程度、感度が向上した。また、マス目上に配置した磁気センサー素子を自動でスキャンすることで、2次元的な磁気分布をリアルタイムで可視化できる。他に、無線計測器と統合し、指のワイヤレスなモーションセンシングへの応用例も実証した。
今回の研究成果により、表面上での微小磁気の空間分布を高感度に可視化できるようになることで、柔らかい生体模倣ロボットの制御システムや生体磁気検出による高精度な医療応用などが期待される。
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