ところでセキュリティの対象はハードウェアだけでなく、ファームウェアの対応も必須である。これに向けてTrusted Firmware-M(Cortex-M用Firmware)が提供されるが、これはオープンソースプロジェクトであるTrustedFirmware.orgのものが利用される(図12)。
もっとも、TrustedFirmware.org自身、もともとはArmが立ち上げたものではあるのだが、面白いのは当初はCortex-A向けの「TF-A(Trusted Firmware for A-profile systems)」が先行していたことだ。2013年にlinaroがTF-AのVersion 0.2を公開、これを基に現在のTF-Aが提供されており、後追いの形でTF-Mが追加された形だ。TF-Aは、ArmのTrustZoneに対応したFirmwareであり、だからCortex-Mが後追いになったのはまぁ当然かもしれない。現状TF-Mも、PSA Certifiedに対応したものになっている(図13)。
こんな具合に、実装とテストの環境を整えて、PSAを(MCUベンダーその他パートナーが)容易に利用できる様にしよう、と工夫してきたわけであるが、これへのもう一押しとしてArmが2018年から提供している設計スイートに「Arm Corstone」がある(図14)。最初に発表されたのはCorstone-100とCorstone-200だが、2019年に入ってさらにCorstone-101/202/700が追加された(図15)。こうしたIPを充実させることで、セキュアなMCUをより広範に普及させたいというArmの意気込みが感じられる。
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