Nature Architectsは「TCT Japan 2020」に出展し、ユーザーが求める機能要件をダイレクトに実現する設計技術「Direct Functional Modeling(DFM)」を訴求。3Dプリンタにしかできない動きや機能性を備えた一体形状の可能性を、多くの展示品とともに披露した。
Nature Architectsは、3Dプリンティング&アディティブマニュファクチャリング(AM)に関する総合展示会「TCT Japan 2020」(会期:2020年1月29〜31日、場所:東京ビッグサイト)に出展し、ユーザーが求める機能要件をダイレクトに実現する設計技術「Direct Functional Modeling(DFM)」を訴求。3Dプリンタにしかできない動きや機能性を備えた一体形状の可能性を、多くの展示品とともに披露した。
東大発ベンチャーとして知られる同社は、「モノの機能を自在に設計可能な社会を実現する」ことをスローガンに、DFMとよばれる設計技術(設計アルゴリズム)を開発し、実社会への実装を目指している。
DFMとは、あるプロダクトにおいて、パーツ/部位ごとに求められるさまざまな機能要件を、従来のように個々の部材に分けて実現するのではなく、一体のデザインとして造形できる設計技術である。「われわれは、与えられた形状、機能要件に対して、その機能を実現する最適な構造をアルゴリズムにより選び出し、それを形状に割り当てて、一体のデザインとして生成できる技術を有している。例えば、DFMを既存のプロダクトなどに適用することで、部品点数や組み立て作業を大幅に削減できるだけでなく、デザインの幅そのものを広げることができる」(説明員)。
展示ブースでは、DFMを樹脂や金属素材に適用したユースケースとして、「メタマテリアル」と「コンプライアントメカニズム」に関する、3Dプリンタによる造形サンプルを見ることができた。
メタマテリアルは、弾力や変形の特性を構造によって制御するアプローチである。軽量化と高剛性を実現する一般的なラティス構造やハニカム構造では、軽くてあらゆる方向に対して強い(硬い)ものは作れるが、力の方向により物性を変えたいようなものは作れない。こうした異方性のあるものを任意に作り出せるのがメタマテリアルの1つの特長といえる。展示ブースのパネルには、メタマテリアルによる設計により、変形追従性/衝撃吸収性、振動制御、大幅な軽量化が実現できることが示されていた。
また、トポロジー最適化と、メタマテリアルを活用した最適設計を比較した事例も紹介。このケースは共に同質量であるが、メタマテリアルによる形状の方が、剛性を損なわず座屈性能を大幅に向上させることができたという。「従来のトポロジー最適化では条件以外の力が加わった際、突然、構造上重要な部位が破断して、機能要件を満たせなくなることがある。これに対し、メタマテリアルを適用したケースでは少しずつ内部構造の小さな柱が壊れていくので突然の破断につながることはなく、強度を担保できる」と説明員。
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