一方、コンプライアントメカニズムとは、力を加えると変形し、力を取り除くと元に戻る弾性変形を能動的に活用したアプローチで、可動部の動きを弾性変形で生み出すことができる。例えば、部品同士を組み付けた際の遊びをなくした精密な動きを再現したり、部品間の摩擦や摩耗を防止したり、組み立てレスで可動部の省スペース化が実現できたりするという。
展示ブースでは、組み立て、遊び、摺動(しゅうどう)のない可動部の実現例として、従来の組み立てによる剛体機構、3Dプリンタによる一体出力の剛体機構、3Dプリンタによるコンプライアントメカニズムを比較。組み立て工数、遊び、摺動の3つの指標において、コンプライアントメカニズムが優れている点を示した。
また、このコンプライアントメカニズムをロボットハンドに適用したサンプル展示も行っていた。約40点ものパーツで構成されている既存のロボットハンドの動きを、コンプライアントメカニズムで再現したもので、「いくつものバリエーションを組み合わせることで、複雑な動きをするロボットハンドを3Dプリンタによって一発で出せてしまう」(説明員)。
現在、同社はDFMによる新たな設計アプローチを実社会へ実装すべく、関心を示してくれた企業とともに、具体的なプロダクトにどのように適用できるかなどのディスカッションをしながら、PoC(概念実証)を進めているところだという。
「3Dプリンタの活用事例として、部品点数の削減や複雑形状の造形といった話は出てきているが、課題も残されており、『これぞ3Dプリンタ!』というベストソリューションは生まれていない。われわれは、DFMがこれからの3Dプリンタ活用のデファクトになることを目指している。実際の量産品に適用されるまで、成果を積み上げていきたい」と説明員は述べる。
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