CCPAが施行された2020年1月1日、カリフォルニア州では、IoT(モノのインターネット)機器セキュリティ法(Senate Bill 327、関連情報)も施行された。同法では、「接続された機器(Connected Device)」について、直接または間接的にインターネット接続が可能なあらゆる機器または物理的主体で、インターネット・プロトコルまたはBluetoothアドレスが割り当てられているものであり、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、テレビ、Bluetoothヘッドセット、スマート電球、パーソナル・フィットネスモニター、医療診断機器などが含まれるとしている。
そして、カルフォルニア州内でこのようなIoT機器の製造・販売を行う事業者に対して、以下のような「相当のセキュリティ」対策を講じるよう求めている。
また、接続された機器が、ローカルエリアネットワーク(LAN)外との認証機能を有する場合は、以下のような要求事項を定めている。
なお、この法律に関わる執行措置については、カリフォルニア州司法長官およびその他の地方検察機関が所管するとしている。
ただし、「医療機器」のように、連邦政府機関の既定法規制・ガイドラインのセキュリティ要求事項を満たしたIoT機器については、IoT機器セキュリティ法が適用されないとしている。逆に、FDA、HIPAAなど、連邦法規制に基づくセキュリティ要件が存在しなかった「非医療機器」は、新たな州法の規制対象となることを意味する。
参考までに図2は、カリフォルニア州における「非医療機器」を取り巻くプライバシーとセキュリティ法規制の関係を整理したものである。
健康/ウェアラブル機器、モバイルヘルスアプリケーションなど、ヘルスケア領域で、カリフォルニア州の市民をターゲットとする製品・サービスの開発を行う企業は、連邦政府レベルのHIPAAやFDA医療機器サイバーセキュリティガイドラインに加えて、CCPAおよびIoT機器セキュリティ法を注視する必要がある。
折しも2019年10月11日、カリフォルニア州知事は、遠隔医療保険保障法(Assembly Bill No.744 Health care coverage: telehealth.(2019-2020)、関連情報)に署名した。州内で提供される遠隔医療に、経済インセンティブを付与することを目的とした新法は、以下のような点を特徴としている。
遠隔医療保険保障法は、2021年1月1日以降開始または更新する保険契約から適用開始の予定である。
日本と比較して米国カリフォルニア州の場合、対症療法的な既存医療に対してはデジタル・トランスフォーメーションによる積極的なコスト削減策をとる一方、デジタルヘルスなど新規技術を活用した将来の病気予防や健康増進につながるサービス開発については積極的に支援する姿勢をとっている。メガプラットフォーム事業者やHelthtech企業が州内に集積する土地柄を生かした、セキュリティ/プライバシー対策機能の研究開発も同時並行で進んでおり、医療イノベーション政策の観点からも、カリフォルニア州から目が離せない。
笹原英司(ささはら えいじ)(NPO法人ヘルスケアクラウド研究会・理事)
宮崎県出身。千葉大学大学院医学薬学府博士課程修了(医薬学博士)。デジタルマーケティング全般(B2B/B2C)および健康医療/介護福祉/ライフサイエンス業界のガバナンス/リスク/コンプライアンス関連調査研究/コンサルティング実績を有し、クラウドセキュリティアライアンス、在日米国商工会議所、グロバルヘルスイニシャチブ(GHI)等でビッグデータのセキュリティに関する啓発活動を行っている。
Twitter:https://twitter.com/esasahara
LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/esasahara
Facebook:https://www.facebook.com/esasahara
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.