前述のグーグル/YouTubeやYelpなど、米国の大手プラットフォーム事業者の本社機能が集中するのがカリフォルニア州だ。そこでは、連邦政府レベルとは別に、州レベルのプライバシー/セキュリティ法規制整備が進んでおり、そのインパクトは州内にとどまらない。代表例が、2020年1月1日に施行された、「カリフォルニア消費者プライバシー法(CCPA:California Consumer Privacy Act)」である(関連情報)。
CCPAでは、個人情報(Personal Information)について、カリフォルニア州民または世帯について識別し、関連し、記載し、結び付け、直接または間接的に合理的にたどることができるあらゆる情報を指し、名前、電話番号、IPアドレス、メールアドレス、口座、社会保障番号、運転免許証、パスポート、商品・サービスの購入履歴、虹彩・網膜・指紋・掌紋・顔・声・DNAなどの身体的・生体的特徴を含む生体情報、Webサイトの閲覧・検索履歴、位置情報データ、職歴・学歴などを含むとしている。
そして、CCPAでは、カリフォルニア州内に事業拠点があるか否かに関わらず、以下の3つの要件のうち、いずれか一つに該当する民間企業を適用対象としている。
ただし、保健医療分野では、以下に該当するようなケースは原則としてCCPAの適用対象外となっている。
「医療機器」から生成される個人データの場合、すでにHIPAAが適用されている医療機関またはその管理監督下で使用されるためCCPAは適用されない。他方、「非医療機器」から生成される個人データの場合、もともとHIPAAが適用されていない健康増進関連サービス事業者などの企業が取扱うケースが多く想定されることから、今後、CCPAに準拠した取扱が要求される。
また、非識別化データの処理方法に関しては、HIPAAとCCPAの間で必ずしも基準が一致していない。当然、日本の個人情報保護法で規定された「匿名加工情報」や次世代医療基盤法で規定された「匿名加工医療情報」とも基準が異なるので、カリフォルニア州と連携した越境データ利用などの場合はデータリスク管理上の注意が不可欠となる。
CCPAはカリフォルニア州の市民に対して、以下のような権利を付与している。
市民に権利を付与するという発想は、カリフォルニア州独自のものである。そして、CCPAで注意しなければならないのが、子供の権利の取扱だ。CCPAでは、前述のCOPPAの規定に従い、13歳未満の子供はオプトイン規制の対象としているが、加えて、13歳以上16歳未満の子供についてもオプトイン規制の対象としている。市民のライフサイクルのステージによって、個人データ利用の前提となる同意取得方法がオプトインとオプトアウトに分かれる形となっているので、注意が必要だ。
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