協働ロボット普及のカギは「用途別パッケージ」、2020年は“第3の道”にも期待:MONOist 2020年展望(3/3 ページ)
ここまで協働ロボットの2020年の展望について紹介してきたが、「人と機械の協調」を念頭に「より良い製造現場」を考えた場合、「協働ロボット」を基軸にしたソリューションだけでは機能面、性能面、コスト面などから満たせない領域があるのではないかと考えている。
そこで、「産業用ロボット」「協働ロボット」に対して、もう一段階「人」に近い「第3の道」のようなものが、2020年は顕在化してくると見ている。協働ロボットは基本的には自立ロボットアーム型だが、自由な形状で「人体拡張」に近いさまざまなロボットが出てくるだろう。例えば、“第3の腕”のような使い方や、マッスルスーツのような手や腰など部分的に支援するようなものなど、協働ロボットよりも近い「ウェアラブル」の距離感で人作業を支援するというものだ。
例えば、パナソニックでは2019年1月に新たなロボット開発を促進するオープンイノベーション施設「Robotics Hub(ロボティクスハブ)」を設立し、人の能力と感覚を“拡張”するロボットの開発に取り組んでいる(※)。ロボティクスハブでは「AutoとAug」をテーマとし、「Auto」は「Automation(オートメーション、自動化)」であり、「Aug」は「Augmentation(オーグメンテーション、自己拡張)」を意味しているという(※)。
(※)関連記事:キーワードは「拡張」、“第3の腕”や“新たな歩行感覚”を作る未来型ロボット研究施設
“第3の腕”を使用し、ボードのネジ止め作業を1人で行う様子
従来のロボット開発ではこの「Auto」が主流だったが、「Aug」の要素を加えたロボットがさらに増える可能性がある。「人体拡張」という面ではさまざまな研究機関が開発を進めているが、「人」と「協働ロボット」の間の領域で、今後はもっと多様な形でソリューションが出てくるのではないだろうか。
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