トヨタに届けるのではなくトヨタが取りに行く、部品の引き取り物流を東海で開始製造マネジメントニュース

トヨタ自動車は2019年12月20日、東海地域において部品の輸送を「引き取り物流」に変更すると発表した。これまで同地区では部品仕入先が輸送を手配してトヨタ自動車に届ける「お届け物流」だったが、トヨタが輸送を手配する方式に切り替える。

» 2019年12月23日 06時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 トヨタ自動車は2019年12月20日、東海地域において部品の輸送を「引き取り物流」に変更すると発表した。これまで同地区では部品仕入先が輸送を手配してトヨタ自動車に届ける「お届け物流」だったが、トヨタが輸送を手配する方式に切り替える。既に九州地域や東北地域では引き取り物流を部分的に実施し、輸送の効率化やCO2排出削減を実現した。東海地域では、九州や東北よりも大規模に実施する計画だ。

 引き取り物流は、2016年から九州地域で、2018年から東北地域で部分的に実施している。関係する部品仕入先や輸送会社の協力を得て改善してきた結果、ドライバーの働きやすさを高めながら、従来より12%少ないドライバー数での輸送、CO2排出量6%削減を達成した。

 東海地域では4つの取り組みを行う。1つ目は、荷物積み下ろし場の整備による、荷役作業時の負担低減と安全性の向上だ。2つ目は、1台のトラックが複数の部品メーカーで集配するミルクラン方式による、積載率の向上と総走行距離の削減だ。3つ目は、トヨタによる輸送計画立案とオペレーションの実施で、全体最適な輸送体制を構築する。4つ目は、輸送現場からの要望や困りごとを吸い上げることによる、継続的な改善とホワイト物流の実現だ。

 東海地域での4つの取り組みの展開や、九州、東北地域での取り組み拡大により、従来と比べて8%の輸送の効率化と、CO2排出量8%削減が期待できるという。

 引き取り物流への変更は、トラックドライバー減少への対応や、ドライバーの作業負担や環境負荷の軽減を目的としている。部品仕入先や輸送会社と一体となり、全体最適を追求した効率的な輸送の仕組みを新たに構築する。物流業界では、2030年にトラックドライバーが2015年比で26%減少すると見込まれており、全国でドライバー不足が深刻化する。2019年からは政府と企業が一体となってドライバーが働きやすい環境をつくる「ホワイト物流」推進運動が始まる。トヨタ自動車も賛同企業の一員として参加する。

 さらに、2030年には、物流だけでなくエネルギー産業や製造業、農林水産業、家庭など日本国内のCO2排出量を2013年比で26%削減することが求められている。

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