「つながるクルマ」が変えるモビリティの未来像

大型トラックの自動運転で実証実験、てん菜農家と製糖工場をつなぐ自動運転技術

UDトラックスと日本通運、ホクレン農業協同組合連合会は2019年7月19日、レベル4の自動運転トラックを使った実証実験を実施すると発表した。安全確保のためドライバーが乗車するが、公道を含むルートを走らせる。実証実験は2019年8月から1カ月弱の期間で行う。共同実証実験を通じて社会実装に向けたユースケースや課題を抽出し、物流のさらなる効率化に向けた仕組みづくりを急ぐ。

» 2019年07月23日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 UDトラックスと日本通運、ホクレン農業協同組合連合会は2019年7月19日、レベル4の自動運転トラックを使った実証実験を実施すると発表した。安全確保のためドライバーが乗車するが、公道を含むルートを走らせる。実証実験は2019年8月から1カ月弱の期間で行う。共同実証実験を通じて社会実装に向けたユースケースや課題を抽出し、物流のさらなる効率化に向けた仕組みづくりを急ぐ。

 使用するのは、大型トラック「クオン」をベースに自動運転技術を搭載した車両1台だ。日本通運は、輸送事業における知見を生かして自動運転による輸送に関してアドバイスを行う。砂糖の原料であるてん菜の集荷と運搬を想定し、生産者とホクレン中斜里製糖工場の間、同工場敷地内の運搬ルートや構内受入場、てん菜受入投入口周辺などを走る実験用ルートを設定した。公道の区間は1〜2kmとなる予定。実証実験の実施は、北海道庁も全面的に協力しているという。

 トラックドライバーは2027年に需要に対して24万人、比率にして25%が不足するとみられる。これまでにも、荷主企業と物流業者が協力して産地や製造地から消費地までの輸送をパレットで行う一貫パレチゼーション輸送の導入や、鉄道コンテナや内航海運を活用した大ロット貨物のモーダルシフトの推進などに取り組んできた。しかし、ドライバー不足が加速度的に進展すると見込み、3社は自動運転技術の活用に期待を寄せる。

 また、「宅配便のドライバー不足が話題となっているが、貨物物流全体においては、農産物など1次産品をはじめとした、いわゆる商流貨物輸送が圧倒的なウエートを占めており、ドライバー不足が深刻化すると日常生活、ひいては日本経済の停滞につながりかねない事態も懸念される」(プレスリリース本文)という危機感も背景にある。

 UDトラックスは、自動運転技術の採用は乗用車よりも商用車が先行すると見込む。大型トラックが走る港湾や工場の敷地、物流施設といったエリアは一般の歩行者や車両が立ち入らないため、自動運転車を走行させるための限定領域を設定しやすいためだ。また、トラックのユーザーである企業にとって、稼働率の向上や、燃料費の削減、人手不足の解消といった費用対効果が明確なことから、商用車は乗用車よりも自動運転が普及しやすいと予測している。

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