お急ぎ便が早く届く秘訣とは――国内最新鋭の「アマゾン茨木FC」を見る物流のスマート化(1/2 ページ)

アマゾンジャパンは2019年4月4日、同社独自のロボット技術「Amazon Robotics」を活用した最新鋭の物流拠点「アマゾン茨木FC(フルフィルメントセンター)」(大阪府茨木市)を報道陣に初めて公開した。

» 2019年04月05日 06時30分 公開
[松本貴志MONOist]

 アマゾンジャパン(以下、アマゾン)は2019年4月4日、同社独自のロボット技術「Amazon Robotics」を活用した最新鋭の物流拠点「アマゾン茨木FC(フルフィルメントセンター)」(大阪府茨木市)を報道陣に初めて公開した。Amazon Roboticsの活用により通販商品の納期短縮や配送品質の向上、従業員の負荷軽減を目指す。

Amazon Roboticsで商品棚を運ぶAGVの「Drive」(クリックで拡大)

棚入れ、ピッキング作業で必要な商品棚が自らやってくる

 アマゾン茨木FCは2018年10月に施設が完成し、2019年4月から本格稼働を開始した同社FCの中で最も新しい物流拠点となる。同FCはユーザーから注文が入った商品を全国各地へ発送する機能を持つ。施設は4階建てで、延床面積は約6万4000m2だ。

Amazonのロゴが倉庫外壁に設置されたアマゾン茨木FC(クリックで拡大)

 アマゾン茨木FCの最大の特徴は、Amazon Roboticsを活用した棚入れとピッキング作業の効率化である。アマゾンが国内に持つFCは10拠点以上あるが、Amazon Roboticsが導入された国内拠点は2016年12月から本格稼働を始めた「アマゾン川崎FC」と茨木FCの2拠点のみだ。

 Amazon Roboticsは商品棚の下に「Drive」と呼ばれるAGV(無人搬送車)が入り、商品棚を持ち上げてFC内を走行。商品棚を定められた位置に移動させる。同技術が優れている点は作業者が棚入れやピッキング作業を行うときに作業者が倉庫内を歩き回る必要がなく、必要な棚が自身で作業者の前に移動してくるところにある。これにより作業者の負荷が減少するだけでなく、棚入れやピッキング時間の削減、作業ミスの抑止にもつながる。

 茨木FCでの棚入れ作業は、作業者が「プラットフォーム」と呼ばれる作業場所で行う。作業者がサプライヤーから荷受けされた商品のバーコードを読み取り、適切な商品棚の適当なスロットに商品を収め、そのスロットのバーコードを読み取る。これら作業により、商品と収められた商品棚、スロット位置をシステム上で関連付けるというのが棚入れの一連の流れだ。棚入れが終了した商品棚はDriveにより自動的に保管場所へ移動される。

棚入れ作業の様子(クリックで拡大)

 また、ピッキング作業もプラットフォーム上で行われる。注文が入った商品が収められた商品棚は自動的にプラットフォームへ届けられ、作業者はディスプレイに表示された商品名、商品画像、収められたスロットを確認しつつ商品のピッキングを行う。作業者は、ピッキングした商品のバーコードと、ピッキングした商品を置くコンテナ固有のバーコードを読み取ることで、万が一異なった商品をピッキングした場合にもエラーを表示することで正しい商品をピッキングし直すことができる。ここでも、ピッキングが終了した商品棚はDriveにより自動的に保管場所へ移動する。

ピッキング作業の様子(クリックで拡大)
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