Amazon Roboticsを活用するFCでは、特定の商品棚に特定の商品を集めて在庫するのではなく、多くの商品を少量ずつ多数の棚に分散して在庫する。これにより作業者はプラットフォームから離れることなく、迅速に棚入れ、ピッキング作業を行うことが可能だ。一方で、商品棚に収められる商品サイズには限りがあり、「ミカン箱クラスの大きさの商品」(アマゾン担当者)が茨木FCで在庫できる最大の商品になるという。
茨木FCに採用されたDriveも川崎FCからさらに進化したものとなっており、自重が約145kgから約136kgに軽量化されつつも、「FCの在庫効率に直結する」(アマゾン担当者)積載可能重量が約340kgから約567kgと多くの商品を運搬することが可能となった。移動速度はどちらも秒速約1.7mだ。Driveは床に一定間隔で張り付けられたQRコードで自身の位置を把握する。また、センサーが搭載されており、床上の障害物や他車との接触を避けることができる。
Driveを含めたAmazon Roboticsの開発もアマゾンが自社で行っており、その技術は2012年に同社が買収した米Kiva systems(キバ・システムズ)の流れを受けている。茨木FCの設計を担当したアマゾンジャパン オペレーション技術統括本部 統括本部長を務める渡辺宏聡氏は、Amazon Roboticsについて「単純に人を減らすという効果を狙ったものではない」と語る。茨木FCは「従業員の負荷を減らしつつ物流品質を高めた顧客第一主義を体現したもの」と胸を張った。
また、棚入れやピッキングをロボットアーム活用によりさらに自動化できないかといった記者の質問に対して、渡辺氏は「アマゾンが取り扱う製品はサイズや形状が千差万別で、この条件に対応して効率的に作業を行うことができるロボットアームの開発は非常に困難だ」との見方を示した。
その他、作業員への安全教育を行う「安全道場」や困りごとを気軽に相談、サポートを受けることができる24時間体制の「よろずや」、作業員に安価かつ健康的な食事を提供するカフェテリアなども公開された。なお、カフェテリアでは某食品メーカーとFCに提供するためだけに共同研究した「FCカレー」(200円)が人気メニューだという。
なお、茨木FCはアマゾン社内で「KIX 3」と呼称されている。アマゾンではFCの社内コードをFCの最寄りのIATA(国際航空運送協会)空港コードに加えて、社内システムへFCを登録した順番にナンバリングを割り振るといい、KIX 3は関西国際空港(IATA空港コード:KIX)近隣で3番目に建設されたFCを意味しているという。
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