パナソニックは100周年を記念して行う同社初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)を開催。その技術セミナーとしてパナソニック コネクティッドソリューションズ社 プロセスオートメーション事業部 ソリューション事業開発センター ロボティクス開発部部長の松川善彦氏が「現場プロセスイノベーションを実現する自動搬送ロボットソリューションの開発」をテーマに、物流におけるロボティクスの取り組み、自動搬送ソリューションの開発状況などを紹介した
パナソニックは100周年を記念して行う同社初の全社ユーザーイベント「CROSS-VALUE INNOVATION FORUM 2018」(2018年10月30日〜11月3日)を開催。その技術セミナーとしてパナソニック コネクティッドソリューションズ社 プロセスオートメーション事業部 ソリューション事業開発センター ロボティクス開発部部長の松川善彦氏が「現場プロセスイノベーションを実現する自動搬送ロボットソリューションの開発」をテーマに、物流におけるロボティクスの取り組み、自動搬送ソリューションの開発状況などを紹介した。
現在、日本の物流現場は深刻な人手不足に悩まされている。2050年には労働人口は5000万人を下回り、運送業や倉庫業は特に人手不足の深刻化が懸念されている。その中でも重量物搬送に関しては搬送作業の負荷が大きく、さらに労働災害リスクも高いという調査結果が出ている。加えて、取引先の都合でカゴ台車、パレット、六輪台車、オリコン台車など台車が決められていたり、設備に合わせて顧客独自の設計が行われたりし、荷姿などの運用の変更が難しい場合もみられるという。
松川氏は「このような、物流現場の深刻な人手不足、重量物搬送の労働災害リスク、運用変更が困難である点などの課題に対して、パナソニックでは既存の重量物台車やパレットを運べる低床型とフォーク型の2種類の搬送ロボットを開発している」(松川氏)とその課題解決に向け製品開発を推進している状況を紹介した。低床型搬送ロボットは耐荷重800kgで自律移動が可能。高さは業界最薄(同社調査による)となる132mmを実現。カゴ車の自動把持などの特徴がある。また、フォーク型搬送ロボットの仕様は耐荷重1000kgで自律移動が可能。汎用パレットの自動把持を実現する。
パナソニックではこれらのロボットによる「運ぶ」の現場プロセスイノベーションだけではなく、サプライチェーン全体の革新に貢献することを目指している。現場のニーズに対し高速で仮説検証を進めるアジャイル開発によりさまざまな可能性を探りながら、技術的には柔軟性のある群制御システム(DOS)に重点を置き、現場の安全性と効率性の両立に取り組む。
サプライチェーン全体への取り組みとしては、顧客の経営効果をトータルで改善するソリューションを提供する。まず、省人化と効率化の仕組みと搬送プロセスシミュレーターで全体運用を示し、群制御システム(DOS)、業務支援システム、自動搬送ロボット、安全と品質を含めた搬送プロセスシミュレーターでシミュレーションを行う。これにより、倉庫全体の経営効果を提案する。
具体的には、顧客の環境(地図情報と運用情報)を提供してもらい、一方で模擬WMS(倉庫管理システム)として、荷物の情報(荷の発生、入荷、搬送、仕分け、出荷)を入力する。これらの情報を基に、シミュレーションを行い、ロボット台数、性能の事前検証に活用。結果は視覚的な表現を行い、それをもとに顧客と議論する。
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