物流の第4次産業革命ともいえる「Logistics 4.0」の動向解説に加え、製造業などで生み出される新たな事業機会について紹介する本連載。第2回は、調達・生産プロセスにおけるサプライチェーンで起こりつつある革新について紹介する。
⇒連載『サプライチェーンの新潮流「Logistics 4.0」と新たな事業機会』バックナンバー
前回は、本連載の第1回目ということで、『物流の第4次産業革命「Logistics 4.0」とは何か』と題し、物流におけるイノベーションの変遷と動向を紹介しました。今回は、そのイノベーションがサプライチェーンにどのような革新的進化をもたらそうとしているのか、調達・生産プロセスを中心に解説をしたいと思います。
ところで、本題に入る前に、(MONOistの読者の皆さまには釈迦に説法だと思いますが)「サプライチェーン」という用語の定義を確認させてください。日本語に訳すと「供給連鎖」になりますが、要するに、調達と生産から保管、輸送、販売に至るまでのプロセスを指します。つまり、「サプライチェーンマネジメント」とは、このプロセス全体を最適化するための手法です。
ポイントは「全体最適」にあります。調達コストの削減、歩留まりの向上、在庫コストの圧縮、輸送の効率化、営業力の強化といった「個別最適」ではなく、全社、あるいは、取引先も含めたサプライチェーン全体での最適化を指向することで、収益性を尚一層高めようとするわけです。
誤解を恐れずにいえば、
といった、組織の垣根を越えた「全体最適」を追求することこそがサプライチェーンマネジメントのあるべき姿といえるでしょう。
しかしながら、この「全体最適」を実現できている企業はあまり多くありません。「言うは易く行うは難し」の典型です。最大の課題は、「全体最適」を追求するために必要なデジタルデータをリアルタイムで把握することにあります。特に物流はブラックボックス化しやすく、コストの内訳や投入工数などを工程別、拠点別、製品種類別、顧客別に分解できない企業が少なくありません。
実のところ、
という例は、決して珍しくないのです。
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