デンソーウェーブとドイツのBeckhoff Automation(以下、ベッコフ)は2019年12月18日、「2019国際ロボット展(iREX2019)」(2019年12月18日〜21日、東京ビッグサイト)の会場で、新たに発表したファームウェアで提供可能な新コンセプトロボットコントローラー「RC9」の狙いについて発表を行った。
デンソーウェーブとドイツのBeckhoff Automation(以下、ベッコフオートメーション)は2019年12月18日、「2019国際ロボット展(iREX2019)」(2019年12月18日〜21日、東京ビッグサイト)の会場で、新たに共同開発した新コンセプトロボットコントローラー「RC9」の狙いについて発表を行った。
デンソーウェーブ 執行役員でFA・ロボット事業部 事業部長の神谷孝二氏は「アプリケーションの幅やコストの幅など、ロボット市場が拡大する中で、ニーズの多様化も進んでいる。ロボットの開発にも、アプリケーションに応じて最適化できる選択性や、世の中の技術を融合できるオープン性、ロボット単体ではなくシステム全体をシンプルに統合できる拡張性などの要件が求められるようになってきた」とロボットの開発環境の変化について語る。
これらの状況の変化に対応するために新たにデンソーウェーブとベッコフオートメーションが開発し、2019年12月13日に発表したのが「RC9」である(※)。ファームウェアとして提供可能な新コンセプトのロボットコントローラーで、産業用PCにインストールするファームウェアとして開発され、ベッコフ製のIPCおよび、PCベース制御技術である「TwinCAT」により、リアルタイム性を確保しながらロボットを制御できる。
(※)関連記事:産業用ロボットをオープンに、PCでソフトウェア駆動する新コントローラーが登場
従来のロボットコントローラーは、ハードウェアとソフトウェアを一体で開発していたオールインワン型だったが、ロボットの使用用途によっては、CPUなどハードウェアの性能不足が制限になることもあり、そのために新たなコントローラーが必要になる不便な状況などが生まれていた。「RC9」では、ハードウェアとロボットコントローラーを切り離して提供することが可能であるため、ベッコフオートメーション製の産業用PCに限定されるものの、求められる性能に応じた産業用PCを自由に選択してロボットを動かすことができるようになる。
さらに、複数台のロボットを統合制御することが可能となる他、開発環境を統合し、一元管理することも可能となる。「ロボットコントローラーがロボット単体のコントローラーではなく、一連のシステム全体の設備コントローラーとして役割を担えるようになる」とデンソーウェーブ FA・ロボット事業部 製品企画室 室長の澤田洋祐氏はその価値について述べている。
今回デンソーウェーブが協業相手に選んだベッコフオートメーションは産業制御領域においてPCベース制御の専業メーカーとして独自の地位を築く企業だ。産業用のネットワークであるEtherCATの開発元としても有名である。同社はグローバルで21万7000台もの産業用PCの出荷を行っているという。そのベッコフオートメーションがPCベース制御の中核に位置付けているソフトウェアが「TwinCAT」である。「RC9」ではこの「TwinCAT」が1つの制御プラットフォームの位置付けとなる。
ベッコフオートメーション コーポレートマネジメントのゲルト・ホッペ氏は「デンソーウェーブが新たなプラットフォームとして選んだ『TwinCAT』は、PLCの役割やモーションコントロールの役割を1つの産業用PCで担わせることができる。またCPUリソースごとに作業の割り振りを行うなど、柔軟で多様な制御が行えることが特徴である。さらにビジョンや音声、機械学習など他の機能を統合することなども可能で、多様性、拡張性、柔軟性を確保できるという点が特徴だ」と語っている。
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