スケッチは基本、平面に描いていきます。3D CADを使いこなすには、どこの平面に、どういったスケッチを描いてフィーチャー化して組み合わせていくかをイメージできるようになっていく必要があります。例えば、平面を作成し、そこにスケッチを描いてフィーチャーで立体化するなどのモデリングをしていきます。
一般的な3D CADソフトでスケッチを描いていく手順ですが、最初にスケッチを描く平面を指定します。次に線分をラフに描いて、平行や垂直などの幾何拘束、距離や角度などの寸法拘束を追加していくという流れになります。
3D CADで2次元設計はできないと思われている方もいますが、それは大きな誤解です。3D CADのスケッチ機能は2次元設計も可能で、3次元とのハイブリッド設計が行えるのです。
2D CADは、ドラフターをPCに置き換えて同じ図面を描きます。従来の設計のやり方、図面の描き方を大きく変える必要はありません。それに対して3D CADは、PCの中で部品を作成して組み立てるものになるので、従来の設計のやり方に+αが必要になるため、使うハードルが上がるのは確かです。
しかし、これまでの連載で紹介してきたとおり、3D CADを用いた設計には、多くのメリットがあります。例えば、2次元のみで設計した場合、「部品が取り付けられない、ドライバーが入らない」「部品同士の干渉やクリアランス不足が発生してしまった」「機構が動作しない、動作中に干渉が起こってしまった」「外観、デザインを詰め切れなかった」「意図しないところに隙間が空いていた」「強度不足、質量オーバー」といった、コスト、納期、品質に直結するさまざまな問題に直面することがありますが、3D CADによる設計であれば、こうした課題や悩みを解消できます。ぜひ、この機会にモデリング力を身に付けて、新しい設計環境に移行しましょう! (次回に続く)
小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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