東芝インフラシステムズは、産業用リチウムイオン電池「SCiB」を展示。中でも、鉛蓄電池と同等の扱いやすさを実現したBMU内蔵製品「SIPシリーズ」の小型モデルを参考出展したとともに、BMUを別途必要とするSCiBの実装を容易とする新製品「SSGB(Self-starter Gateway for BMU)」を披露した。
SCiBは負極に安全性の高いチタン酸リチウムを採用した、高い安全性や長寿命、急速充電が特徴の二次電池だ。SIPシリーズはBMUを内蔵しており、AGV(無人搬送車)の駆動用鉛蓄電池の置き換えも簡単に行える。マツダが製造ラインで稼働する16台のAGV用鉛電池をSCiB SIPシリーズに置き換えるなど、実績も増えつつある。
現在の製品ラインアップは、単独もしくは2並列(24V出力)、2直列(48V出力)のモジュール構成となる。定格容量は単独構成で556Wh(22Ah)、2並列構成で1112Wh(44Ah)、2直列構成で1112Wh(22Ah)だ。単独モジュールで247×188×165mmの寸法で、2並列・2直列構成では単独モジュールを2個使用する。
一方で、AGVでは低背化の波が進んでおり、駆動用電池にも小型化が求められるようになった。そこで、同社はSCiB SIPシリーズの使い勝手の良さはそのままに、従来品より小型とした「SIP-SLIMシリーズ」の製品化の検討を始めた。SIP-SLIMシリーズでは、24V出力の大容量タイプと、さらなる小型電池を求める顧客向けに24V小型小容量タイプが製品化される可能性があるという。
また、複数のSCiBセルを組み合わせた産業用SCiBモジュール「Type1シリーズ」「Type3シリーズ」を容易に扱えるSSGBが2019年10月から発売されている。Type1・Type3シリーズはSIPシリーズよりも大容量かつ低背なメリットがあるが、顧客側でBMUなど複雑な電池制御システムを構築する必要がある。顧客からは「Type1・Type3シリーズを使いたいが、CAN通信を使ったプログラム開発などBMUを構築するプロセスが大変だという声があった」(同社担当者)という。
SSGBは、Type1・Type3シリーズの電池制御システムの開発を簡略化する製品だ。Type1・Type3シリーズの製品組み込みがSIPシリーズ並みに簡単になるとし、「起動スイッチ1つで運転、停止が行える」(同)など日々の運用も簡略化できる。また、BMUの起動には直流12V電源が必要となり、従来はBMU用補助電源を別途用意する必要があった。SSGBはBMUを自律起動する機能を持つため、「AGVなど移動体にBMU用補助電源を載せる必要がない」こともメリットとしている。
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