東芝インフラシステムズは「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2019」に出展し、リチウムイオン電池「SCiB」の産業機器向けモデル「SCiB SIPシリーズ」のAGVへの採用事例について紹介した。
東芝インフラシステムズは、東芝デジタルソリューションズ(TDSL)のプライベートイベント「TOSHIBA OPEN INNOVATION FAIR 2019」(2019年11月7〜8日)に出展し、リチウムイオン電池「SCiB」の産業機器向けモデル「SCiB SIPシリーズ」のAGV(無人搬送車)への採用事例について紹介した。マツダが製造ラインで活用している他、ダイヘンのAGV向けワイヤレス給電システムにも採用されているという。
SCiBは、負極材料にチタン酸リチウムを採用することで急速充電や長寿命を実現したリチウムイオン電池である。自動車向けではスズキのマイルドハイブリッドシステムなどに採用されており、2019年5月にはマツダが新型「Mazda3」のマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid」への採用が発表された。
鉛電池の充電時間は約8時間、寿命も1〜3年が一般的だが、SCiBは充電時間を約1時間に短縮でき、寿命も10年に伸ばせる。また、高エネルギー密度のリチウムイオン電池なので、重量も鉛電池の4分の1で軽量化も可能になる。加えて、産業機器向けのSCiB SIPシリーズはBMU(バッテリーマネジメントユニット)を搭載しており、電池状態の診断機能や保護回路の他、上位コントローラーに電池状態を通信するためにデジタル出力や通信機能も備えている。
マツダでは、製造ラインで運用していた16台のAGVの鉛電池をSCiB SIPシリーズに切り替えるとともに、非接触型の充電器を採用。鉛電池でAGVを運用している際には、バッテリー切れの鉛電池を作業員が人手で交換していたが、28〜42分かかるこの作業がゼロになった。1台のAGVには32kgの鉛電池を2個搭載しており、その交換作業にかかる時間はライン停止時間にもなっていた。また、鉛電池をあらかじめ充電しておくスペースを確保する必要もなくなった。年間で鉛電池を1トン以上廃棄していた環境負荷の問題も解決された。「トータルで年間約500万円のコスト削減を実現できた」(東芝インフラシステムズの説明員)という。
ダイヘンのAGV向けワイヤレス給電システムは、同システムによってAGVの24時間稼働を実現する上で、SCiB SIPシリーズの急速充電性能や寿命、安全性などが高く評価されたという。
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