日精樹脂工業は、電気式射出成形機のグローバル戦略機となる「NEX-V」シリーズを発表した。成形工場のIoT化を推進する新型コントローラー「TACT5」を搭載するほか、世界統一安全規格ISO20430や産業用通信の標準規格OPC‐UAなどに対応する。
日精樹脂工業は2019年10月15日、電気式射出成形機「NEX」シリーズのグローバル戦略機となる「NEX-V」シリーズを発表した。NEX‐Vシリーズは、型締力294kN(30t)〜3530kN(360t)まで9機種を展開し、2020年5月から順次量産していく。
NEX-Vシリーズは、成形工場のIoT(モノのインターネット)化を推進するために開発した新型コントローラー「TACT5」を搭載する。TACT5により、射出成形機をハブとして周辺機器をネットワークで連携できるため、稼働情報の即時収集や、遠隔からのモニタリング、メンテナンスサービスが可能になる。
同シリーズは、射出成形機の世界統一安全規格ISO20430(国際標準化機構にて制定中)に先んじて準拠するなど、グローバル戦略機として開発された。また、安全で信頼性の高い、産業用通信の標準規格OPC-UAを搭載し、射出成形機とMES(製造実行システム)間の通信規定であるEuromap77や、全ての機器で共用できるObjectTypeを規定したEuromap83に標準で対応。周辺機器を接続する通信規格への対応が容易になり、取り出しロボットや材料供給装置、金型温度調節機などを一元的に管理できる。
操作パネルは、水ぬれやほこりに強いフラットなタッチパネルで、ユニバーサルデザインの採用により視認性に優れる。縦長に配置された15インチ液晶ディスプレイは上下2画面表示で、直感的な操作が可能だ。品質および生産管理機能、メンテナンス機能などを搭載し、稼働履歴や成形モニターデータによるトレーサビリティーが容易になる。
機械の全長は業界最小クラスながら、業界トップクラスのワイドプラテンとロングデイライトで、大型の金型やホットランナ金型、長尺成形品の金型などにも柔軟に対応する。また、同社の低圧成形システムとNEX‐Vシリーズを組み合わせることで、使用している金型に対して、1クラス下の型締力の成形機を選択できるようになる。
現行シリーズの機構を継承した型締トグル機構は、型開閉などのハイサイクル動作により生産性を向上する。面圧が均一で、ねじれに強い構造のフラットクランプ型締機構は、可動盤スライド部に型締直進精度に優れるリニアガイドが標準装備されており、成形不良を防ぎつつ精密かつ安定した成形ができる。
トグル機構とリニアガイドは耐摩耗性に優れ、グリスの煩わしさを低減。クリーン度が向上しているため、容器業界、医療業界などのクリーンルームでも使用できる。
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