村田製作所は、「CEATEC 2019」において、センシングデータプラットフォーム「NAONA」の最新の開発成果を披露した。
村田製作所は、「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)において、センシングデータプラットフォーム「NAONA」の最新の開発成果を披露した。
NAONAは、人が五感を使って認識している「認知情報」や「関係性情報」をセンシングし、データを提供するプラットフォームである。前回のCEATECでの展示では、このセンシングデータとして、360度マイクを組み込んだコミュニケーションセンサーで収集した音声データを用い、音声特徴量(音量、テンポ、トーンなど)に変換し活用していた。
今回は、先述の音声特徴量に加えて、人と人の会話の中で特定のキーワードが出てくる回数などの分析結果も利用。さらに音声データだけでなく、カメラで撮影した画像データから得た、人の表情や顔の角度などを分析した画像特徴量も取得している。これらの特徴量分析はエッジコンピューティングで処理しており、センサーデータをクラウドに直接アップロードせずに済む。
展示では、1対1の会議ソリューション向けでのNAONAの利用をイメージし、同社の説明員による当日の昼ご飯に関する会話の様子を分析し、その結果から会場付近のレストランを自動で提案するデモンストレーションを披露した。ブース内の左側と右側にいる人それぞれの特徴量(表情、顔の向き、音声)を掛け合わせて関心度を算出し、会話の中で出てきたキーワード(今回のデモでは食事の種類など)とひも付けて、2人の要望を反映するレストランを提案するという内容になっている。
なお、NAONAがカバーする事業範囲は、360度コミュニケーションセンサーやカメラ、エッジコンピューティングに用いるハードウェアの提供から、各種特徴量を抽出して関心度の高いキーワードの抽出するところまで。今回はデモとしてレコメンドまで行っているが、実際にそういったアプリケーションは顧客側で開発することになる。
2017年のCEATECで発表されたNAONAだが、現在はHR(人事)領域で具体的な需要が出てきつつある。「HR領域を中心に提案を行ってきたこともあり、トライアルで10数社に利用してもらうなど大きな手応えがある」(村田製作所の説明員)という。今後は、もう1つの大きな市場として想定する接客領域への展開を強化して行きたい考えだ。
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