Origin Wireless Japanは、「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、Wi-Fiの電波で物体の動きや移動を検出できる独自の空間認知プラットフォーム「WirelessAI」を紹介した。
センサーなしに在室状況や室内位置、睡眠状態が分かる――。Origin Wireless Japanは、「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、幕張メッセ)に出展し、Wi-Fiの電波で物体の動きや移動を検出できる独自の空間認知プラットフォーム「WirelessAI」を紹介した。
Origin Wirelessは、米国メリーランド大学発のベンチャー企業。同大学教授のK. J. Ray Liu氏が開発した技術「Time Reversal Machine」の商用化を進める。同技術は電磁波が複数の伝送経路を持つ現象である多重波伝播(マルチパス)を利用したもの。マルチパスの状態は空間内にある物体の位置が変わることで変化する。Wi-Fi電波のCSI(Channel State Information:伝搬路情報)を同社独自のアルゴリズムで解析することで、マルチパスの状態変化から物体の存在検知や位置の推定などを可能とした。
同技術は基礎アルゴリズムとしてモーション検知や呼吸検知、位置検知を、応用アルゴリズムとして在不在検知や室内行動検知、睡眠状態検知などを実装している。検知データはAPIによってパートナーに提供する。今後、人が移動する速度や加速度をモニタリングして転倒検知を行うことや、個人で異なる電波の反射パターンを学習して個人認証識別を行うことも検討している。
これら機能は、WirelessAIに対応するWi-Fi機器を設置することで利用できる。機器の設置にあたって特別な工事や調整作業は不要とした。物体検知は親機(Origin)と子機(Bot)の2台のWi-Fi機器、位置測位は親機(Satellite)と移動するWi-Fi機器(Tracker)を用意するだけでサービス提供が可能だ。位置測位の精度は「50cm四方程度」(Origin Wireless Japan担当者)という。
Origin Wirelessは、WirelessAI対応機器を製造するベンダーにハードウェアライセンス、WirelessAIを活用してサービスを開発するパートナーにAPIライセンスを提供する。既に、成田空港のラウンジ内シャワールームにおいて在室確認ソリューションとして採用実績がある他、警備会社と共同で見守りサービスへの活用など複数の実証実験が進行中だ。カメラやセンサー設置が不向きなユースケースで引き合いが多いとする。
同技術はWi-Fi以外の通信電波にも応用できるとし、今後はセルラー通信への対応を目指す。特に、5G(第5世代移動通信)では「高速通信かつ高周波帯の電波を利用するため、さらに高精度な位置測位が期待できる」(Origin Wireless Japan担当者)とした。
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